2001年,IT業界全体に不況の嵐が吹き荒れた中で,右肩上がりの成長を持続した数少ない企業といえばデルコンピュータだ。世界のPC市場でシェア1位,IAサーバ市場でも2位へ躍進する同社の日本法人を率いるのは,浜田宏社長。IDCジャパンの調べで,2001年第2四半期の国内IAサーバ市場でシェア2位となり,日本での成長も著しい同社の2001年について,浜田社長に振り返ってもらうとともに,2002年の戦略についても聞いた。
浜田氏あってのデルの躍進。同氏と話せばだれでもそう感じるのではないか。やると決めたらやる,というその姿勢は,マリナーズのイチローやセリエAパルマの中田英寿を彷彿させる。「好きな言葉」の問いに迷うことなく,「コミットメント」「ネバーギブアップ」「No Pain No Gain」の3つを挙げる同氏に,デル躍進の理由を確信した。
ZDNet 2001年を振り返って,デルにとって重要だった出来事は何ですか?
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「やることをやれば自然にトップになる」と浜田社長 |
浜田 法人,コンシューマーを含めたすべての製品の国内マーケットシェアが7%に達し,業界6位へと上昇したことです。4,5位までの差はわずか。トップ4の仲間入りが見えてきました。
また,法人ビジネスで3位を堅持したこと。日本市場でナンバーワンを目指す体制が整ってきました。エンタープライズ市場の成長は,2001年の収穫でした。
ZDNet エンタープライズ市場での成長について具体的に教えてください。
浜田 まず日本の(IA)サーバ市場でもトップ3に入っていることに満足しています。2002年は1位を取りにいきます。それと,コンサルティングビジネスの大成功。既に200件以上のクライアントを獲得できました。そして,(2001年10月の)EMCとのストレージ分野での提携です。ストレージ分野では,SAN,NASなどすべてのラインに力を入れる予定です。
ZDNet 法人ビジネスでのライバルは?
浜田 ライバルを挙げるとすれば,富士通,NECですね。
ZDNet インターネットの普及で,モーバイルアクセスへのニーズも高まっていますが,PDA分野に参入する予定はありますか?
浜田 PDAについては,研究はしていますが,具体的な製品を投入する予定はありません。
ZDNet 浜田社長が会社を経営する上でのモチベーションは何ですか?
浜田 業績です。ビジネスが成功することに100%の力をかけています。人とのネットワークを増やしたいとか,自分のやりたいことを追求したいといった個人的なエゴは0%。デルが伸びることだけを考えています。
ZDNet 社員に対してどのようなリーダーシップをとりますか。
浜田 明確なビジョンと戦略をつくる。明確なコミュニケーションをする。どんな困難があっても実行させる。これを心がけています。
[聞き手:怒賀新也 ,ITmedia]