「不安を感じているが対策は遅れている」シマンテックのネットセキュリティ調査

シマンテックは、5月に行ったインターネットセキュリティ総合調査の結果を公表した。インターネットユーザーの98%が何かしらの脅威を感じているものの、「不安を解消してより安全に使おうという具体的な努力や対策が不十分である」とまとめている。

» 2004年06月11日 01時20分 公開
[ITmedia]

 シマンテックは6月10日、インターネットセキュリティ総合調査の結果を公表した。それによると、インターネットユーザーの98%が何かしらの脅威を感じているものの、「不安を解消してより安全に使おうという具体的な努力や対策が不十分である」と警告している。

 この調査は、5月上旬にかけてインターネットを活用する一般の15歳以上の男女500人ずつ合計1000人を対象に行ったもの。そのうち回答者の4割以上がインターネットを5年以上利用するユーザーで、9割がADSLをはじめとするブロードバンド接続を利用していた。

 インターネットを利用する上で不安と感じているものは、個人情報漏えい事件が続発している最近の世相を反映し、「個人情報の流出」を挙げた者が最も多く、87.9%が不安に感じている。それに続くのは、「ウイルス感染」で86.7%と、ウイルスについてもほとんどのユーザーが脅威に感じている状況だ。

 そのほか、半数近くは、不正アクセス(52.4%)、スパム(迷惑)メール(49.9%)を不安に感じており、スパイウェアについては28.9%が不安に思っている状況で、不安を感じていないユーザーは2%と最も少ない。

Windows Updateを行っている人は4割

 だが、脅威に対する認知は漠然としたものがあり、具体的な対策もあまり進んでいないこともこの調査から分かる。調査では、情報漏えいに対する認識として不正アクセスや踏み台の危険性を知っているかを尋ねているが、全体の48%のほぼ半数が「何となく聞いたことがある」との回答だった。また、スパイウェアの認知についても尋ねており、こちらは「聞いたこともない」とする層が34.7%と一番多かった。

 これらに対する具体的な対策として、最も多くの人が行っているのは「Windows Update」。39.5%の人が挙げた。この数字について、シマンテックは「マイクロソフトやセキュリティベンダーの呼びかけの結果が出てのではないか」と推測している。

 Windows Updateに続いて次に多いのが、「ファイアウォールを利用している」で33.7%、「素性のわからないフリーソフトなどはダウンロードしない」と答えた人も32.3%いた。何も対策していないユーザーは26.3%だった。

ウイルス対策ソフトを利用している人は79.4%

 ウイルスについての認知はほぼ全員にいきわたっているものの、利用履歴が短いほど「何となく怖いものと感じている」という漠然的な理解の比率が高まる傾向にある。

 対策として、ウイルス対策ソフトを利用している人は79.4%おり、「使っていない」の15.7%を大きく上回っていた。定義ファイルのアップデートの必要性を認知していないユーザーも1.9%と少ないが、定期的に行っている利用者は58.6%と6割を切っている。最新のウイルス対策ソフトは自動的にアップデートを行う機能を持っているため一概に捉えることはできないが、「定期的にアップデートを行っていないほぼ半数がリスク層にあたる」と、シマンテックでは分析している。

パスワードを頻繁に変更する人は3%程度

 パスワードの利用状況についても調査しており、結果一人あたり平均6.67個のパスワード利用していることが分かった。そのうちの38.3%が自分自身のデータをパスワードに利用しており、家族やペットのデータも含めると64.8%と大半を占める。また、サービスごとにパスワードをすべて変えている人は全体の16%と少なく、いくつかで共通のものを利用している人が54%と半数を超えた。頻繁にパスワードを変えているとしたのも、3.1%と圧倒的に少ない。現在のところセキュリティよりも管理のしやすさを選択しているユーザーが多いようだ。

 その管理手法としては、「頭で記憶している」が最も多く47.8%。「手帳などに手書きしている」(40.8%)が続く。またコンピュータに保存しているのは15.2%だった。企業であればパスワードは社内ポリシーに従って管理すべきだが、個人利用のものを一人で6、7個を管理するのは難しい。セキュリティとマネジメントのバランスからすれば、「現在のところ暗号化して保存しておくのがより良いだろう」としている。

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