元J.D. Edwards顧客、PeopleSoftの移行プランに不満

J.D. Edwardsの顧客を新ライセンスモデルに移行させようとしているPeopleSoftだが、「価格体系がよく分からない」「コスト高になる」「強行軍だ」と同社のやり方に不満の声が上がっている。(IDG)

» 2004年06月25日 10時25分 公開
[IDG Japan]
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 PeopleSoftはJ.D. Edwardsの顧客を新しい価格モデルに移行させようとしているが、一部ユーザー、特にコストが大幅に増える顧客は不満を示している。

 デンバーで開催のQuest Global Conference 2004で6月22日、EnterpriseOneの顧客数社が、J.D. Edwardsのライセンスから新しいライセンスプランに移行させようとするPeopleSoftの取り組みに疑問を呈した。これら顧客は新しい価格体系がよく分からないこと、自分たちに交渉権がないように思えること、すぐに移行しなければ不利になることに不満を訴えている。

 おそらく最大の問題は、PeopleSoftの価格体系が明瞭でないことだと同イベントで顧客企業は話した。顧客の多くは同社に不満を持っている。

 こうしたユーザーの懸念についてPeopleSoftにコメントを求めたが、返答は得られていない。

 EnterpriseOneを利用しているSchnitzer Steel Industriesの情報サービスディレクター、フレデリック・ポンド氏は、価格体系と契約移行プログラムに関する情報を入手するのに「苦労している」ことが不満だと話す。同社は企業規模をベースにした新しいライセンスモデルへの移行を持ちかけられたが、「ROI(投資回収率)が悪い」との理由でまだ採用していないという。

 「今のPeopleSoftの提案を採用したら、現状と同じシステムで、年間メンテナンス料が約25%高くなる」と同氏。同氏によると、PeopleSoftは顧客の財務状況を毎年調査し、売上が10%以上増えた顧客に対してソフトの料金を引き上げる。さらに、Schnitzer Steelが事業部門を売却しようが、市場が低迷しようが、その料金は決して下がらないという。また一部顧客は旧ライセンスプランを継続する場合、四半期ごとにコストが10%増えるため、早く移行した方が安上がりになる。同氏はこれを「強行軍」だとしている。

 建設会社WeitzのCIO(情報統括責任者)マーク・フェデール氏は、同社が売上高10億ドルに達した際、PeopleSoftは「素晴らしい、貴社が売上10億ドルに達したからには、われわれはこれだけのお金を貴社から徴収できる」と持ちかけてきたと話す。移行を拒めば四半期ごとにコストが10%増えるというアプローチは、「悪感情を芽生えさせる可能性がある」と同氏。

 こうした懸念はあるものの、PeopleSoftは方針を軟化させると同氏は予測している。

 新ライセンスプランを採用し、EnterpriseOne CRMに移行中のある企業は、PeopleSoftとは「取引しにくい」と話す。この企業はライセンス交渉の際に直面した問題の1つとして、PeopleSoftの営業担当者がころころ変わり、担当者が変わるたびにライセンスに関する情報も変わったことを挙げている。この顧客はすぐには返答ができず、PeopleSoftの営業マンはひっきりなしに本社に戻って指示を仰がなくてはならなかった。

 その結果「申し出を飲むか否か」という交渉スタイルになり、「長期的な関係」ではなく四半期ごとの売上を立てることが交渉の中心になった。「今われわれにとって、どこにメリットがあるのかを見極めるのが難しい」とこの企業は語る。

 EnterpriseOneを利用するMWH Globalの財務担当副社長マイケル・ハンフ氏は、PeopleSoftとの1年にわたる交渉において、契約の文言は顧客に「不利」なものだったとしている。契約文言に抗議する権利がないため、顧客側は「守勢を取ることになる」と同氏。新ライセンスモデルは「かなりの費用が発生する」ためメリットがないとも話す。

 同氏はPeopleSoftの価格体系をもっと理解したいとし、価格の問題は「それなりの不安を生んだ」と語る。

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