SunとIBM、先にNovellを買収するのはどっち?

「Novellを手にする者が、IBMの将来がかかったOSを掌握する」。Sunの社長は、IBMはNovellを買収するほかに道がないと見ている。Sunはそれを恐れて、Novell買収を考えているようだ。(IDG)

» 2004年08月04日 17時56分 公開
[IDG Japan]
IDG

 8月2日にサンフランシスコでLinuxWorld Conference & Expoが開幕する前から、主要Linux支持企業のSun MicrosystemsとNovellはニュースの見出しをにぎわせていた。Sunは莫大な保有現金を使ってNovellを買収するつもりなのか?――Sunのジョナサン・シュワルツ社長兼COO(最高執行責任者)のコメントがWall Street Journalに報道されてからというもの、この話題で持ちきりだ。

 「バランスシートに照らして、すべての選択肢を検討している」とシュワルツ氏は1日の取材の中で述べていた。

 「IBMが依存しているOSを所有することは、どれほどの価値があるだろうか?」と同氏は語り、続けて次のようなコメントを口にして、サンフランシスコに集まったLinuxファンから怒りと疑念を呼んでいる。「これまでの歴史を振り返るなら、われわれは比較対象としてMicrosoftに目を向けるだろう」

 オープンソースコミュニティーが疑問に思っているのは、順調なNovellのSUSE Linuxを出し抜こうと、Sunがそのような買収計画を密かに進めているのかどうかということだ。確かに、Sun独自のLinuxベースソフト「Java Desktop System」の知名度を大きく高める効果はあるだろう。

 しかし、これは本当の話なのだろうか? Sunは本気でそのような買収を考えているのだろうか?

 その答えは明らかに「イエス」だ。ハイテク業界で長い歴史を持つ大手公開企業――最新の決算報告によると、保有する現金と有価証券は76億1000万ドル――にふさわしく、Sunの経営状態は良好で、バランスシートも健全だ。同社は今、多額の資金を持っており、買収を検討するのは当然だ。その上Novellの時価総額は7月30日時点で26億4000万ドルと射程圏内に入っている。

 だが実のところ、Sunはほかの誰かがNovellを買収することを恐れているのではないだろうか。特に、その「誰か」がIBMだったらと恐々としているのだろう。

 「IBMは実際に困った立場にある」とシュワルツ氏は1日、自身のブログで述べている。「Red Hatの優勢から、IBMはほとんどSUSE(Novell)に頼りっきりになっている。Novellを手にする者が、IBMの将来がかかったOSを掌握する。面白いじゃないか」

 同氏はブログでさらにこう続けている。

 「IBMが機先を制してNovell/SUSEを買収したら、世界は変わる。社会運動で有名でもない特許訴訟屋の製品ポートフォリオにLinuxが入ることになる。しかし、IBMにほかに道があるというのか。今の市場シェアを見ると、Red Hatを買収するのは無理なようだ。だが何もしなければ、IBMの中核顧客はRed Hatに浸食されてしまうだろう。かたやSunは、IBMのハード上でもオープンなSolarisプラットフォームとJava Enterprise Systemを活用できるという大きな、そして持続可能な競争上の利点を持っている。AIXの死によって、IBMは再び弱体化した」

 「私はNovell/SUSEの話題に今後も注目していくつもりだ。もしもIBMが同社を買収したら、コミュニティーの怒りと顧客の不満は相当なものになるだろう。だが、IBMにほかに道はないのだ」とシュワルツ氏は結論づけている。

 一方LinuxWorldで、Sunは統合開発環境「Sun Studio 9」の提供開始を明らかにした。これにはSPARC、Xeon、Opteronプロセッサ上で動作し、Java Desktop System 2003、SUSE LINUX Enterprise Server 8、Red Hat Enterprise Linux 3に対応するアプリケーションを構築するC/C++ツールが含まれる。また同社はLinuxにネイティブ対応したサーバソフト「Sun Ray」のデモも行った(関連記事参照)

 LinuxWorldの来場者は、NovellとSunが互いに目と鼻の先にブースを出していることをどう思うだろうか。それはまだ分からない。

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