非常に多機能なVisual Studio .NETは、その機能性から使いこなしが難しい傾向にある。しかし、ちょっとした設定やノウハウで開発効率は高まる。この特集では、いますぐ実行可能な効率的な活用法を紹介しよう。
.NETアプリケーション開発ソフトの代表格といえば、やはり「Microsoft Visual Studio .NET 2003」であろう。ボーランドの「Delphi 8」や、フリーのASP.NET開発環境である「Web Matrix」も最近加わったが、現時点ではMicrosoft Visual Studio .NET 2003(以下、Visual Studio)が最も実績ある開発環境であることに間違はない。
Visual Studioの難点と言えばまずはその価格設定だが、現時点でもアカデミック価格を実施していたり、次バージョンのVisual Studio 2005でも主に学生や非商業開発者に向けた「Express」エディションを用意し、いっそう導入のハードルを下げていく狙いだ(関連記事)。
またVisual Studioは非常に多機能なため、その機能をすべて使っている人はほとんどいないだろう。機能の多さや、ビジュアル性が高い機能、自動的に見えて制御が利かない機能などを嫌いデバッグにしか使わない、という人は筆者の周りには多い。機械には融通が利かないことが多いが、しかしその機械の性格を少しでも理解すれば、AT車のようにプロでも便利な道具になる場合がある。Visual Studioも、それぞれの機能でできること、できないことや、特性などを理解すればソフトウェア開発の効率が上がることに間違いない。
この特集では、ソフトウェア開発の流れにおいて一般に遭遇すると思われる以下のトピックを順にピックアップし、それぞれの時点で知っておくと便利なことやテクニックを紹介していく。
Visual Studioを今まで避けてきた人も、不便と思う部分がありながら使っている人も、ぜひ参考にしていただき、より便利に使ってほしい。
Visual Studioで新しいASP.NETプロジェクトを作成すると、そのプロジェクトは、
http://localhost/<プロジェクト名>/ |
というURL指定を持つようになる。初めてASP.NETサイトを作る人にとってのハードルは、この点だろう。実際に運用するサーバでは、通常はそのサーバのルートからのURLになる。
異なるURLを持つサーバへコピーする方法については本特集の後半で述べるが、まずはコードを記述する上で、画像、CSS、ユーザーコントロールなどの外部ファイルを参照する際、この違いは面倒だ。相対パスが使えればいちばんよいが、絶対パスを利用したい場合のテクニックがある。
Visual Studioのドキュメントには書かれていないが、ASP.NETのサーバ コントロールにおいては「~」をアプリケーションのルートURLとして表すことができる。
例えば画像タグを、
<img src="https://image.itmedia.co.jp/<プロジェクト名>/images/c.gif"> |
と記述してしまうと、これは開発環境では動作するが、実環境では絶対パスが異なるため、画像が見つからなくなる。これを、
<img runat="server" src="~/images/c.gif"> |
と記述すれば、どちらの環境でも動作するコードにすることができるわけだ。属性「runat="server"」を付けないと、ASP.NETで処理されずにそのまま出力されてしまうので注意しよう。
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