WhidbeyへのいざないVisual Studio Magazine(2/7 ページ)

» 2004年08月13日 16時50分 公開
[Don Kiely,FTPOnline]

 これは議論の余地がないことであるが、Microsoftは野心を失ってはいない。同社は、急進的な生産性向上を可能にする完璧な開発環境であるWhidbeyに対して、重要な開発リソースを注ぐことに集中している。

 Whidbeyでの拡張は、VS.NET 2003のときのような単なる進歩ではなく、.NETと最初のVS.NET 2002リリースとの違いに比肩するほどの大改革がある。それらの拡張に関する情報は、Whidbey IDE(Integrated Development Environment)に見て取れる(図1)。

図1 図1 WhidbeyのIDEは、Wordドキュメント作成と同様の感覚でコードを書くための新機能を多く実装している。ユーザーコードの変更部分に関して、画面左側のコードウィンドウの垂直バー(1)を用いて、保存された部分を緑色で、未保存の部分を黄色で(図にはない)表示する。フローティングボックスと支持矢印を用いてウィンドウを結合するときに多くのガイダンスが提供され、ユーザーは結合されたウィンドウが配置される領域(2)を確実に把握できる。

 Whidbeyは最終的に、コードが複雑で醜悪であっても構わないように扱う。私の予感では、Whidbeyを使う開発者たちはオープンされたVS.NET 2003とMicrosoft Wordを横に並べて、Wordのオーサリングツールをどのようにコード記述に対して使うのかと考えることだろう。

 このアプローチは、Whidbeyの特徴を知る上で最も有意義だ。Whidbeyの特徴には、コードとオブジェクトに関連するIDE操作結果をエディタに吐き出すライン構成マーカーやスマートタグのほか、自動的な保存と復旧などの安定した正確さがある。ワードプロセッサが数年前からサポートしてきたこれらの機能なしに、これまでどうやって膨大なコードの記述を管理してきたのかと思うだろう(図2、図3)。

図2 図2 VS.NETは選択したIDEセッティングをユーザーにエキスポートさせることで、各種のインターフェースコンフィグレーションのカスタマイズを容易にする。多様なファイルを保存できるため、各種のコンフィグレーションへの切り替えが簡単になる。また、開発チーム内で.vssettingsファイルを共有するなら、チームの全員が保存されたコンフィグレーションを利用できる
図3 図3 VS.NETでのデバッギングの経験は、Whidbeyでもとても有益である。例えばデータ参照ツールチップ上で右ボタンをクリックすることで、さまざまなアクションを取ることができる。 VB.NETでは、この機能は新しくなったエディット&コンティニュー機能にインテグレートされる

 マイナス面としては、Whidbeyは高度な技術を持つユーザーにはメリットを提供するが、プログラミングの初心者は置き去りにしてしまうことだろう。VS.NETは多様なエディションを用意することで、ビギナーから熟練したプロフェッショナルまでをターゲットにしている。この記事の執筆時点で、MicrosoftはWhidbeyのエディションについてアナウンスしていないが、VS.NET 2003でのターゲットとしていたアカデミックとプロフェッショナル、エンタープライズ開発者に対するものがリリースされることだろう。また、エンタープライズアーキテクトに関しても同様である。

 Whidbeyには経験の少ない開発者をターゲットとした多くの新機能があるが、Whidbeyを使うユーザーが生産的であるためには、たとえVB.NET(コラム参照)においても、.NET Frameworkと各種の関連するツールを深く理解する必要がある。これは必ずしも悪いことではない。ツールの包括的な集合ならなおさら、全ての人々にとって、それが全てというツールは成立しない。

 もしMicrosoftがエンタープライズ向けのツールベンダーであることを真剣に志向するなら、遅れた開発者は置き去りにせざるを得ない。良いニュースは、プロフェッショナルのプログラマーがWhidbeyの学習曲線を研究したところ、目覚しい可能性が開かれたという点だ。

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