WhidbeyへのいざないVisual Studio Magazine(6/7 ページ)

» 2004年08月13日 16時50分 公開
[Don Kiely,FTPOnline]
コードネームの由来は?

 Microsoftは通例として、リリース前の製品に対してコードネームを使用している。2002年の最初のリリース以来、Visual Studioの各バージョンに関するコードネームは、以下のように地理的なパターンを持っている。

 現在出荷中のVisual Studio .NET 2003に対するコードネームである「Everett」は、Microsoft本社があるRedmondから30マイル離れたところにあるWashington州の街の名前だ。Whidbeyは、ピュジェット湾に浮ぶ島で、Everettの対岸にある。Whidbeyのリリースは2004年末に予定されており、SQL Serverの次期バージョンであるYukonとの関連性を持つ。2004年以降に予定されるWindows XPの次期バージョンのコードネームはLonghornである。同時期にMicrosoftがリリースするVS.NETのバージョンのコードネームはOrcasだ。ピュジェット湾に浮かぶOrcas島は、Redmondから見てWhidbey島の先にある。

Longhornに乗る

 再び、Microsoftは新しいOSの開発に向けた長い旅に乗り出している。このOSのコードネームがLonghornである。MicrosoftはWindows Server 2003の初期において、Longhornをクライアント専用OSとして予定していたが、最近になってLonghornは少なくともサーバのリフレッシュを含むと発言した。クライアントOSとサーバOSのリリースを同期させるという決定は意味深い発表だ。Windows 2000 ServerネットワークにWindows XPを統合するという野心的な発想は、つまりXPに等しいコンポーネントの外側に、一般的にみればサーバOS用の新しいコードを実装するというチャレンジである。

 MicrosoftはLonghornについて、拡張されたオーディオとグラフィックスの能力と管理能力を持ち、新規のモジュールインストレーションが各種の業界における独自コンポーネントのOSへの統合を処理し、API開発とインテグレーションに対するまったく新しいアプローチも含む革新的なOSだと誉めている。Windowsの頻繁なリリースに対して業界が不平を持つにもかかわらず、Microsoftがサーバコンポーネントの改変も含むと決定していても不思議ではない。

 現実にMicrosoftは、その開発努力を宣伝し、新しいOSの機能と拡張された部分の詳細を公表することで世の不平をなだめようと試みる。グラフィクス関連において、(今日の96dpiに対するものとして)Longhornは120dpiの解像度を持つモニター上で、多様なグラフィックスのモードをサポートするべきである。高解像度のモニターでは文字が小さくなりすぎて読み辛くなることがあるが、DirectX技術をベースにしたLonghornの新しいグラフィクスレンダリングエンジン「DCE」(Desktop Composition Engine)は、3Dイメージをより写実的にし、同一の画面上で複数の解像度を同時にサポートする。とはいえ、こうしたLonghornの先進的なグラフィクス機能は、ハイスペックなグラフィックカードを要求するだろう。

 また、オーディオビジュアル関連において、Longhornの新しいメディアトランスポートプロトコルおよび、PCからオーディオディバイスにデータとファイルを転送するUniversal Audio Architectureは、PC上での多様なデバイスの統合を簡単にするはずだ。Longhornは、Microsoftの新しいNext Generation Secure Computing Base(NGSCB、正式なコードネームはPalladium)とのフルインテグレーションも行う。NGSCBは、OS自身とMicrosoftがマイクロチップメーカーと共に開発している特殊なハードウェアの双方により、高度なセキュリティサービスをすぐに提供する。

 Longhornは、デスクトップメタファーの廃止を試みる、新しいユーザーインタフェースを含み、同様に、コンピュータ上での情報の構成の簡素化を意図した、新しいファイルシステムであるWinFS(Windows Future Storage)も実装している。この時点でLonghornで予測される機能に関する包括的なリストを挙げるのは早急である。これ以上のことは、開発サイクルの進捗として知ることができるだろう。

 Microsoftは、Longhornの成功のためにサードパーティデベロッパーによる支援を必要としている。Microsoft Office XPでは、Task Paneのようなパワフルで新しいインタフェース機能を紹介したが、その作成手段の開発者への提供に失敗した。同社は明らかに、その教訓に学んでいる。Windows Server 2003は、.NET Framework(version 1.1)とVS.NET(version 2003)の特質を徐々に浸透させる働きを含んでいた。同様に、MicrosoftはLonghornにインテグレートされる開発コンポーネントを含む、新しいバージョンのVS.NET(コードネームWhidbey)を用意している。2005年末か2006年の初めに予定されるLonghornの正式リリース前であっても、WhidbeyはLonghornコンパチブルコードの作成に興味を持つ開発者を支援するはずだ。

 Longhornの開発における明確な方向性の1つが、マネージドコード環境への移行に対するサポートだ。これまでのWindowsのすべてのエディションは、現在ではその数が7万6000を下ることのないWin32 APIをベースにしている。Microsoftは、.NET APIをベースにしたマネージドコードへ移行することで、Windows APIのセットを8000から12000程度にまで削減することを望んでいる。

 例えば、1つのAPIが新しいDCE(Distributed Computing Environment)の原則を形式化し、もう1つのAPIは新しいUIのコアを形式化する。全てのLonghorn APIがXAML(XML application markup language)を使うことで、これまで以上にWindowsのコード開発は簡素化される。新しいAPIとXAMLの双方が、Whidbeyの中にダイレクトにインテグレートされる。とはいえ、新しいユーザーインタフェースの完全なインテグレーションに関してはOrcasの登場を待つ必要がある。

 Longhornの趣意は明白で、新しいOS用のアプリケーション開発を始めたいのならWhidbeyが必要になるというものだ。Microsoftは、2003年10月にロサンジェルスで行われた2003 Professional Developers Conferenceで、Whidbeyの初期コードを無償で配布した。このコードはMicrosoft Developer Networkからも得られる。オープンなものではないが、少なくともMicrosoftには、進んで世界中の開発者と協調し、彼らがLonghornに備えて必要とするコンポーネントとツールへのアーリーアクセスを提供する用意がある。


 Danielle RuestとNelson Ruest(MCSE, MCT)はシステムコンサルタントで、いくつかの著作を持つWindows Server System Magazineの常連コントリビュータである。最近の著述にはWindows Server 2003 Pocket Administrator(Osborne McGraw-Hill)があり、時間に追われるシステムアドミニストレータが彼らのネットワークを良好に保ち、毎日の運用を実現するための手助けを目的としている。コンタクトは infos@reso-net.com まで。

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