赤字続くSCO、Linux訴訟費用に上限

SCO Groupが、Linuxをめぐる訴訟に関わる費用が「最高潮」に達したことを明らかに。同社はこれを受けて、法律事務所と訴訟費用の上限を3100万ドルに定める契約を結んだ。(IDG)

» 2004年09月01日 17時29分 公開
[IDG Japan]
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 手持ちの現金が減少し、赤字が積もり続ける中、SCO Groupは費用を削減してIBMとの訴訟を進めるのに十分な資金を確保するための手を打った。同社は8月31日、四半期決算の説明会でこれを明らかにした。同社第3四半期(5〜7月期)の業績は、売上高1120万ドル、純損失740万ドル。訴訟関連の費用720万ドルが響いた結果となった。

 SCOのダール・マクブライドCEO(最高経営責任者)はマスコミ・アナリスト向けの電話会見で、同社の中で訴訟費用が「最高潮」に達していたとし、法律事務所Boies, Schiller & Flexnerと訴訟関連の費用を3100万ドル以内に収めるように契約を結んだと話している。

 投資会社Baystar Capitalとの論争で最近和解し、SCOには現在、4300万ドルの現金がある。法的論争に関して支払うことになるかもしれない3100万ドルをカバーするのに十分すぎる額だとマクブライド氏。「コスト面で見て、訴訟関連のビジネスを制御できている」

 訴訟費用の上限を設けることに同意した見返りとして、IBMとLinuxをめぐる訴訟で和解合意に至った場合、Boies, Schiller & Flexnerはより多くの分け前を手にすることになる。同法律事務所は、和解金の額に応じて20〜30%を受け取るとマクブライド氏は説明している。

 SCOはコスト削減に向けた取り組みをさらに進め、スペイン、イタリア、アイルランドの事務所を閉鎖し、向こう3カ月のうちに、カリフォルニア州サンタクルーズの本社で働く従業員30人を今より小規模なビルに引越しさせる計画だと同社のバート・ヤングCFO(最高財務責任者)は話している。

 SCOは現在、世界で230人の従業員を抱えているという。

 SCOでは、UNIX System VのソースコードをライセンスするSCOsource部門の売上が大きく伸びている。SCOsourceは、2004年の同社上半期(11〜4月期)中にわずか3万1000ドルの売上しか上げられなかったが、5〜7月期には67万8000ドルに急増したとヤング氏は電話会見で主張した。「この売上は主に、昨四半期中に完了した取引と、今四半期に完了した取引を含む、主に2つの収益源によるものだ」(ヤング氏)

 ヤング氏は、その企業2社を特定することは避けた。

 SCOsourceは5〜7月期中に売上を拡大したかもしれないが、決して状況が打開されたわけではない。同部門の同四半期中の総費用810万ドルに、さらにSCOの訴訟費用720万ドルが加わっている。

 マクブライド氏は、今年SCOsource部門の業績が振るわないのは、LinuxベンダーNovellと係争中の訴訟が原因だとしている。「Novellの主張によって、このビジネスを推進する当社の能力が、大きく影響を受けていると考える姿勢は変わっていない」(マクブライド氏)

 Novellは、SCOsourceがライセンスしているUNIX System Vのソースコードの著作権はNovellに帰属すると主張している。またSystem Vのコードは、SCOの対IBM訴訟でも争点になっている。

 SCOが敵対的買収のターゲットになるかもしれないという業界内の憶測を受けてか、SCO取締役会が敵対的買収提案の阻止を図る「シェアフォルダー・ライツ・プラン(株主の権利をめぐる計画)」を導入したことをマクブライド氏は明らかにした。「基本的に株主にとって一番の利益にはならない外部提案や買収を排除するものだと考えている」と同氏。

 マクブライド氏によると、8月10日に取締役会で採択されたこの計画によって、買収の試みがあった際にSCO取締役会は同社の「適正価格」を決定する権利を得る。

 SCO株は、2003年9月には20ドル台で売買されていたが、ここ数週間は4ドルを下回っている。「長期的な当社の価値と考える株価と現在の株価の差について、非常に懸念している。確かに、当社がこの計画を導入した根底には、この格差がある」

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