Brocadeの戦略分野は「ブレード」と「インテリジェントSANスイッチ」

Brocade Communications Systemsは今後、ブレードサーバとインテリジェントSANスイッチ/ルータを戦略分野に位置付けるという。

» 2004年09月07日 20時54分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「SAN市場には2つ、急成長している分野がある。1つはブレードサーバ。もう1つは、分散したSANにまたがってのリソース共有を可能にするインテリジェントなSANスイッチ/ルータだ」――。

 米Brocade Communications Systemsは9月7日、戦略説明会を開催した。同社の会長兼CEOを務めるグレッグ・レイス氏はこのように語り、エントリレベルからエンタープライズレベルまでをカバーするSANスイッチ製品群を引き続き展開するとともに、この2つの「新興市場」に力を入れていく方針を明らかにした。

 同社は既に5月に、IBMの「eServer BladeCenter」に接続可能なSANスイッチモジュールをリリースし、ブレードサーバのSAN対応を推進している。というのも、「ブレードサーバは今、コンピューティングの世界で最もエキサイティングな分野。2008年にはサーバの3分の2がブレードサーバになるとの予測もある」(レイス氏)からだ。Brocadeは今後もブレードサーバ向け製品を強化していく予定で、2005年前半には新たに2種類の製品を投入する計画という。

レイス氏 2つの戦略分野を明らかにしたレイス氏

 もう1つの「インテリジェントなSANスイッチング」は、異機種混在環境において、ニーズに応じて必要なストレージリソースを柔軟に割り当てる「ストレージユーティリティ」の実現に欠かせない要素となる。これの分野に関しても同社は、ファイバチャネル(FC)のほかIPベースのiSCSI、FCIPといったプロトコルに対応し、異なるSANの間を橋渡しする「SilkWorm Multiprotocol Router」をリリース済みだ。

 Brocadeではこの製品に、単なるリソース共有にとどまらず、ストレージリソースの割り当てや開放を自動的に、しかもシームレスに行う「自動プロビジョニング」や仮想化といった機能を加えていく計画だ。そして、このインテリジェントSANスイッチをパートナー各社の「プラットフォーム」として提供することで、ストレージ分野でのユーティリティコンピューティング実現を支援するという。

 並行して、高速化が進むFC規格のサポートも進める。2005年前半には、現在の2倍の速度に当たる4Gbps FCを実装した製品を、現行製品と同価格帯で投入する見込みという。

 といっても、SANが日本市場に紹介されてから数年が経過しているにもかかわらず、「日本ではDAS(サーバに直接接続されたストレージ)の割合が高く、SANやネットワークストレージはまだまだ普及していない」(ブロケード日本法人の代表取締役社長、津村英樹氏)のが現状だ。その大きな原因として、「日本企業のシステム入れ替え周期は4〜5年と、欧米に比べてスパンが長い」ことが挙げられるという。

 ただ一方で同氏は、「今まさに、システムの入れ替え時期が到来しており、SANの急成長が見込める。メインフレーム向けストレージの市場でも、DASからFICONへの移行が進むだろう」とも予測。これまでまったくSANを導入してこなかった新規市場への導入も含め、OEMパートナーともども積極的に製品およびサポート/トレーニングなどを提供していく方針だ。

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