Intel、次世代インターネットに果たす役割を模索

IDF Fall 2004でIntel CTOはインターネットに新しい層のインテリジェントノードとサービスを築く「PlanetLab構想」を披露した。(IDG)

» 2004年09月10日 08時28分 公開
[IDG Japan]
IDG

 次世代インターネットの需要に対応するため、既存のインターネット構造の上に、新しい層のインテリジェントノードとサービスを築く必要がある――。Intel Developer Forum(IDF)を締めくくる講演で9月9日、Intelのパット・ゲルシンガーCTO(最高技術責任者)はこう指摘した。

 同氏は未来のインターネットについて、何百万もの新しいデバイスとユーザーによってネットワークに負荷がかかると指摘。こうした懸念への対応として同社は、Intelプロセッサ搭載サーバを新しいネットワークノードとして導入、大規模なトラフィックルーティングや高度なセキュリティといったさらに複雑な作業を処理させる構想を描いている。

 Intelは既にPlanetLab構想の下、世界各地の194カ所に440ノードを導入済みだとゲルシンガー氏。PlanetLabは業界の研究組織で、Intel、Hewlett-Packard(HP)、France Telecom、Googleなどが参加している。

 仮想化技術を通じてさまざまなネットワークサービスがこれらのコンピューティングリソースを共有することが可能だとゲルシンガー氏は話す。一例としてIntelは、カリフォルニア大学バークリー校の学生が開発した「PHI」 (public health of the Internet)というサービスを紹介していた。

 IntelはPHIを使って長期にわたりPlanetLabネットワークへの攻撃を分析、上位10の攻撃元で、攻撃に関連した全トラフィックの60%を占めていることがわかったという。PHIではこれら攻撃者のIPアドレスを特定することができ、この情報を企業に提供、ワームやウイルスが引き起こすトラフィックの量を削減する一助になっているとゲルシンガー氏は語った。

 PlanetLabの構想は、現在インターネットのバックボーンとなっているルータやスイッチの代替となるものではないと同氏は言う。むしろ、既存のネットワークの上にもう一つ層を追加し、PHIやグリッドコンピューティングといった、Intel言うところの「惑星的規模のサービス」を処理するものになるという。

 このような構想には相当のコンピューティング処理能力が必要となり、ここにIntelの出番があるとゲルシンガー氏は説明。膨大なコンピューティングリソースを持ったネットワークなら、最も必要とされる所にこれらリソースを割り当て、同ネットワークへの攻撃を自動検出することが可能だと述べている。

 PlanetLabプロジェクトにはビジネスチャンスが存在するというのがIntelとHPの考えで、非常に近い将来、両社はこの技術の商用化に着手する計画だとゲルシンガー氏は話した。

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