「自動化」にフォーカスしたIBMの最新DB2

最新版のDB2は管理にかかる時間を最大65%削減し、クエリージョブを手動処理の約7倍の速さで完了できるとIBMはうたっている。(IDG)

» 2004年09月10日 15時26分 公開
[IDG Japan]
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 米IBMは9月17日、約2年ぶりとなる「DB2 Universal Database」のメジャーアップグレードを出荷する。このバージョンでは機能の自動化、高度なクラスタリング、Webサービス配備に力点を置いている。

 このバージョン8.2(コードネーム「Stinger」)は、自己管理、自己調整を行う「自律」機能を備え、管理にかかる時間を最大65%削減するとIBMは説明している。自律機能への取り組みの一環として、過去の経験から「学習」し、情報への最速ルートを見つけ出して検索を高速化する「Learning Optimizer」技術が採用されている。

 さらに、自動的にデータベースを設計し、最適化するツール「DB2 Design Advisor」も含まれる。このツールにより、バージョン8.2ではクエリージョブを手動処理の約7倍の速さで完了できるという。

 「自動化とコスト削減に焦点を当てたメジャーリリースだ」とIBMのDB2情報管理ソフト戦略ディレクター、ジェフ・ジョーンズ氏。前のバージョンのDB2 Universal Database 8.1は2002年11月に出荷された。バージョン8.2は9日に正式発表された。

 同社の説明によると、これらの自律機能によって、顧客履歴、製品価格、製品の在庫などの情報をこれまでよりも迅速に検索・管理できる。さらに、データベース内の自動メンテナンスにより、テーブルメンテナンスやデータバックアップなどの管理・維持作業が実行される。

 「DB2(Design)Advisorの強化機能にワクワクしている」と話すのは、Credit Union of Texasのビジネスインテリジェンス担当ディレクターで、DB2ユーザーのブルース・ムーア氏。「当社には42のインデックスを持つテーブルがあり、月末のデータロードの一環として行うインデックス構築に5時間かかる」

 「一部のインデックスが重複しているのは確かだが、どれがそうなのかは分からない。DB2 Design Advisorの強化機能は、これらのインデックスの一部を取り除くのを可能にし、多次元クラスタリングに適した設計、おそらくサマリーテーブルまでも考え出してくれれると思う」(ムーア氏)

 最新版DB2でIBMはOracleとの機能競争を続けていると、Gartnerの副社長でアナリストのドナルド・フェインバーグ氏は指摘する。「IBMはStingerでデータベース管理時間を減らし、大きく前進している」

 クラスタ環境に対しては、この最新版は自律型のクライアントルート変更機能を持った「Automatic High-Availability Disaster Recovery」を提供する。「自律的なフェイルオーバとアプリケーションのルート変更を提供し、最初に問題が発生した時にDB2(データベース)をバックアップする。これはシステムを稼働させ続ける自動化された方法だ」とジョーンズ氏。

 システム自動化プラットフォームのTivoli、Linuxと併用した場合、DB2は最初のシステムシャットダウンから20秒以内にバックアップサーバに情報を転送する。同製品は1000ノードのクラスタリングをサポートする。

 さらにこの製品には、データベースをWebサービスコンシューマー・プロバイダーとして動かせるWebサービス機能が組み込まれているが、IBMのWebSphereアプリケーションサーバで補完する必要がある。例えばユーザーは、このWebサービス機能を比較ショッピングなどのアプリケーションに活用できる。またスケーリングと性能改善により、データグリッドの構築も従来より容易になっているとジョーンズ氏は説明する。

 新しい「DB2 Geodetic Extender」機能は、不動産・資産管理、あるいは地理データが必要な業務プロセスなど空間的なアプリケーションの構築を容易にする。

 バージョン8.2の価格は旧版と同じにしているとジョーンズ氏。小規模な作業グループ、または中小企業向けのDB2 Expressは500ドルからで、数千人のユーザーを抱える企業向けのDB2 Enterpriseエディションはプロセッサ当たり2万5000ドル。対応OSはWindows、UNIX、Linux。

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