大規模な買収は増える――Microsoft CFOが語る

米MicrosoftのCFOであるジョン・コナーズ氏が、同社の買収戦略について率直に語った。(IDG)

» 2004年09月24日 08時43分 公開
[IDG Japan]
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 米Microsoftはこれまでの歴史の中で試みたことない大規模な買収を行い、レッドモンドの本社に人員を集中させる中央集権型から分散型へ変貌を遂げていくことになるかもしれない。同社の最高財務責任者(CFO)、ジョン・コナーズ氏が語った。

 MSは606億ドルもの大金を株主に還元し、その一方でERPの巨人、独SAP AGの買収は中止したが、大規模な買収は増えそうだ。Churchill Clubが主催したシリコンバレーのビジネスマン向けイベントで、コナーズ氏はそう示唆した。

 「これまでの歴史の中で行ったよりも大規模な取引を行う可能性があると思う。SAPみたいな会社がたくさんあるわけではないが、それほど大きな企業のいくつかを買収する可能性はある」とコナーズ氏。大規模な取引とは、10億ドル以上の買収額をさす、と同氏は示した。

 MSがSAPと交渉を行っていることは、OracleのPeopleSoftに対する敵対的買収の審理が開始された6月に明らかにされた。合併後の統合はリスクが大きすぎるとの判断により、この交渉は中止された。SAPの市場価格は9月20日のニューヨーク証券取引所終値で約500億ドル。

 Microsoftがどの分野に注目しているかについて、コナーズ氏は詳しく語らなかったが、同氏によれば、他社を買収することにより成長しようとするならば、MSは方針変更をする必要があるという。中核的な人材を移す、たとえば研究開発チームをレドモンドに異動させるといったことだけでは十分ではないという。

 「会社のある部分を増やすためには、より分散化する必要がある。より多くの買収を行うのなら、さらなる分散モデルを実現しなければならないと思う」とコナーズ氏。

 Microsoftは従来、開発業務の中心を本社の中に置いていた。しかし、買収が増えるにつれて、変化が起きている。デンマークにあるヴェドベックはNavisionの本拠地であったが、MSが2002年に同社を14億5000万ドルで買収したあと、Microsoft Business Solutionsの主要な開発拠点となった。この部門は会計・CRMなどのソフトウェアを販売している。

 2002年に制定された米国の公開企業の企業情報公開と財務報告に規制法であるSarbanes-Oxley法に関するコメントを求められたコナーズ氏は、コンプライアンスルールに関してMicrosoftはそれほど大きなトラブルには遭遇していないと答えた。しかし、中小企業に関しては、猶予が行われるべきだと付け加えた。

 「幹部レベルがこうした事柄に時間を十分に使える余裕のある大規模な組織ならばいいが、小規模な組織では問題がある。だから、中小企業でコンプライアンスに上級管理職が多大な時間を使わなければならないというのは適切とは言えない」とコナーズ氏。

 「小規模な企業向けに法案のバージョン2.0を策定し、小規模な企業、特に創業したての会社については経営者、管理者の法的責任を制限するようにすべきだ」とコナーズ氏は述べ、聴衆のから喝采を浴びた。

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