緊急事態における企業の危機管理は「組織体制の整備」が不可欠

日刊工業新聞とgooリサーチの調査によると、緊急事態における企業の危機管理は「組織体制の整備」「マニュアルの作成と周知の徹底」を必要だと考える回答が多かった。

» 2004年09月30日 20時57分 公開
[ITmedia]

 gooリサーチは、日刊工業新聞との共同企画調査「テロおよび危機管理」に関するネットアンケートを実施、その結果を発表した。回答者数は1360人。

 これによると、日本の社会は10年前と比べて安全かどうかの問いには、85.7%が「危険」と回答しており、「安全」はわずか1.3%だった。年代により感じ方に差があり、10代は「危険」と感じているのは70.1%だが、60代以上では91.0%に上り、他の年代でも85〜90%の範囲。

 また、危険になった要因(複数回答)は「凶悪犯罪の増加」が89.5%でトップ、次いで「無差別テロ」「異常気象や大地震」「個人情報の漏洩」がこれに続く。地域別にみると、「凶悪犯罪の増加」は地域に関わらず1位だが、2位は、東北・四国で異常気象、北海道でコンピューター犯罪・個人情報の漏洩と差が見られる。「テロ」は、大都市圏を抱える関東、近畿、中部、中国で2位だった。

 国際的なテロ対策強化によるグローバル経済への影響は、「影響あり」が51.3%で、「影響なし」(9.6%)、「どちらともいえない」(39.1%)を上回った。影響ありと答えた人(697人)に、影響が出るのはやむを得ないかどうか聞いたところ、66.1%が「安全優先でやむを得ない」と回答している。

 テロや災害、事件を想定した企業の危機管理には何が必要か(複数回答)という設問では、「緊急事態に対応する組織体制の整備」(80.1%)、「危機管理マニュアルの作成と周知の徹底」(76.5%)が多く、「コンピュータシステムなどのバックアップ」を挙げたのは、46.18%で4位。

 一方、個人レベルの危機管理について自由回答を求めたところ、744件の回答があり、内「危機意識を持つこと」という基本的な回答が259件と最も多かった。ほかに「危険な国や場所に行かない、近づかない」(100件)、「情報収集、社会情勢に気を配る」(89件)、「日ごろからの準備・訓練・シミュレーション」(80件)などが続き、「個人情報の管理」は37件だった。

 なお、国際協力面(複数回答)では、「国連をはじめとする多国間での国際協力」が86.5%と最も高く、「イラクのような自衛隊派遣による復興支援」は11.0%と9つの選択肢のなかで最も低い結果で、「米国との連携強化」も16.3%と次いで支持意見が低かった。

 「テロ対策として個人の自由や企業活動が制限されても仕方がないか」には、安全優先派が61.4%で、10%を切った自由優先派を大きく上回ったが、「どちらともいえない」も3割近くに上る。年代では、10代(安全派52.5%、自由派19.9%)、20代(同55.6%、同12.4%)がほかの年代に比べて自由重視の比率が高く、60代、次いで40代が安全派の割合が高いという結果になった。

 回答者の職業構成比は、1360人中、会社経営者が38人(2.8%)、会社員447人(32.9%)、主婦337人(24.8%)、自由業76人(5.6%)、農業2人(0.1%)、学生250人(18.4%)、無職102人(7.5%)、その他108人(7.9%)。

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