スーパーマーケット発展の歴史から考える今後の小売ビジネス特集:ITが変革する小売の姿(2/2 ページ)

» 2004年10月07日 09時12分 公開
[松吉章,アール・エス・アイ]
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 まず、商品の仕入れを上手に行うことがポイントだ。新製品が続々と登場し、1つの商品ライフサイクルも短くなる中で、仕入れの最適化が難しくなっている。かつてのように、仕入れ商品の選定をメーカーや卸業者に任せてしまっては、消費者ニーズを後追いする結果になり、売れる商品をリアルタイムに供給することができない。

 もう1つは「情報」への取り組みだ。現在、情報が消費者の購入意欲を高めるカギになっている。昨今、商品の提供側よりも購入側の方が、情報に敏感で知識が深い場合がある。インターネットや携帯電話の普及により、消費者はさまざまな情報に簡単にアクセスできるようになった。雑務に追われる販売員より、情報ツールを使いこなすOLの方が商品知識が深いといったことも今ならよくある話だ。

 店員の方が消費者よりも情報力があることを前提としていたこれまでの常識が覆りつつある中で、小売業者は何を消費者に提供していくのか。従来の小売業の発展は、チェーン店の経営手法などをベースにしており、ある意味で消費者を無視していた。今後、小売業者は情報というキーワードを掲げ、どのように消費者に価値を提供できるかを考えなくてはならない。

 次回は、スーパーマーケットとは異なる発展形態で業界を支配していったコンビニエンスストアをモデルに、小売のIT化のポイントを考える。


著者:松吉章氏(アール・エス・アイ代表取締役、アクチャ−コンサルティング・エグゼクティブコンサルタント)

 日本NCRで商品管理などのPOS・EDPシステム営業に従事した後、システム企画販売企業を経て、アール・エス・アイを設立。大手コンビニエンスストア向けの店舗情報企画やPOSシステム企画、EDI業務企画コンサルティング、CRMコンサルティングなどに取り組む。POSデバイスインターフェースの標準化を推進するESOGや、ARTS(Association for Retail Technology Standards)などの標準化団体の日本代表、流通システム開発センターの委員なども歴任。

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