マルチコアCPUへのライセンス方式決定に続き、MSは仮想化についてのライセンス料を検討している。だが、ユーティリティモデルの採用は計画していない。(IDG)
Microsoftは1台のコンピュータで複数のアプリケーションのインスタンスを実行する環境向けのソフトライセンス方式を検討しているが、利用量に応じて課金するユーティリティベースのコンピューティングは計画していない。
同社サーバ・ツールマーケティング担当コーポレートバイスプレジデント、アンドリュー・リーズ氏が10月19日、SoftSummitで語ったところによると、同社は仮想化に関しての戦略を検討中という。仮想化された環境では、同じシステム上で複数の仮想マシンが動いている可能性がある。
現在、Microsoftはソフトのパーティショニング(仮想化)に関係なくハードの性能を基に課金している。ユーザーサイトでは4プロセッサコンピュータ上で、1000の仮想マシンで同じアプリケーションの1000のインスタンスを実行しているかもしれないとリー氏。この場合、現行の方針では、ユーザーには4プロセッサ分のライセンス料が課される。
同社はライセンスの進め方についてフィードバックを求めており、「理想的にはシンプルな方式にしたい」と同氏。仮想化環境向けのライセンス方式で売上が増えるのかどうかは現時点では分からないという。
ユーティリティコンピューティングに関しては、Microsoft関係者らは、ユーティリティコンピューティングという言葉の定義が定まっていないと指摘する。「この会場にユーティリティコンピューティングが何であるかを一貫して定義できる人はいないと思う」と同社のワールドワイドライセンシング・プライシング担当ディレクター、コリ・ハルジェ氏。
同氏は「当社には現在、ユーティリティモデルがない。自身で構築することもない」と語り、ユーティリティコンピューティングに適したアプリケーションもあるが、OfficeやExchangeなどのMicrosoftアプリケーションはこの種のモデルに向かないし、顧客にはこのモデルを支えるインフラがないとも指摘した。
SoftSummitに参加したHitachi Data Systems(HDS)関係者は、Microsoftにユーティリティコンピューティングを採用する気がないのは分かっているが、HDSではストレージシステム販売にこのコンセプトを採用する可能性を研究していると述べた。「ユーティリティモデルへの顧客の需要は高まっている」とも。
リー氏は、例えば、MicrosoftはExchangeのライセンス料をメールボックスごとに徴収しているが、メール1通ごとに課金したら、同アプリケーションに対する利用意欲は削がれるだろうと主張した。
またリー氏は、Microsoftがこの日、マルチコアプロセッサに課すソフトウェアライセンス料を、シングルコアプロセッサと同等に扱うと発表したことを賞賛した。
「コアが1つでも2つでも8つでも、1個のプロセッサは1個だ。われわれは、ムーアの法則がコスト増を意味することのないようにしていく」(リー氏)
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