JUNOSはIOSよりも先進的、アピールするジュニパー

モノリシックOSの代表として、シスコシステムズのIOSを取り上げ、モジュラー型OS「JUNOS」の優位性を説明したジュニパー。企業向けルータでモジュラー型を採用するのは、ジュニパーだけだとアピールする。

» 2004年10月27日 19時01分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 ジュニパーネットワークスは10月26日、都内ホテルでエンタープライズ・ソリューションセミナー「インターネットを越えて」を開催した。

 今年に入って、ファイアウォール/VPNで知られるネットスクリーン・テクノロジーズを買収、6月には企業向けのサービスルータ「Jシリーズ」を発表するなど、企業向け製品でも攻勢の激しいジュニパー。大須賀雅憲社長は、開会に当たり今年の動きを「満を持してエンタープライズに乗り込むもの」と挨拶。

大須賀雅憲氏 同社の取り組む主要市場でのシェアはすべて上位3位以内に入っている、と大須賀社長

 同社のルータアーキテクチャの優位性を説明した技術本部チームリーダー システムエンジニアの長田篤氏は、「モノリシックOSを使用したルータでは、QoSやACL、VPN、暗号化、MPLSなどといったサービスへの要求に対応できなくなってきた」と話す。従来型のモノリシックOSでは、そのアーキテクチャ上、サービス性を高めるとパケット転送やルート計算の処理に影響を及ぼしてしまう。

 これに対し、ジュニパーはモジュラー型OS「JUNOS」を採用する。フォワーディング、ルーティング、サービスのプレーンを独立させることで、それぞれが別のプレーンに影響を与えず、付加価値を高めることができる構成になっている。「これからのエンタープライズ環境に向いたアーキテクチャだ」と同氏。

 モノリシックOSの代表として、シスコシステムズのIOSを取り上げ、JUNOSの優位性を説明した。シスコの新型OS「IOS-XR」でもモジュラー型のアーキテクチャが採用されており、「シスコの新型ルータで採用されているということは、それだけJUNOSが先進的ということ」。

 「ただし通信事業者向けのコアルータ「CRS-1」以外で実装する予定はなく、いまだにCRS-1は出荷されていない」と、企業向けでモジュラー型を採用するのはジュニパーだけだと強調することも忘れていない。

IOSv.s.JUNOS IOSとJUNOSを比較、アーキテクチャだけでなく、IOSはバージョンによって機能が違うなど管理も大変という

 ジュニパーは、企業向けのルータとして「Mシリーズ」および今後の新製品「Jシリーズ」と2種類を展開する。MシリーズはJUNOSと専用ASISでフォワーディングするタイプの本社バックボーン向け製品で、JシリーズはJUNOSとIAプロセッサを搭載した支店向けのタイプだ。

 Mシリーズは、ハードウェア的にも制御プレーンと転送プレーンを分離しており、Jシリーズについては、ソフトウェアレベルで制御プレーンとフォワーディングプレーンを明確に分類し、フォワーディング用に個別のプライベートアドレス空間が割り当てられるようになっている。「(Jシリーズは)これまでCPUベースのルータで起こっていた問題を解消した」(同氏)。

 また、Jシリーズでは、OSPF1エリア内に数百ノードをサポートする能力を備えるほか、「J-Web」と呼ばれるWebベースの管理ツールを搭載するなどの特徴を持っている。

ジュニパーの企業向けルータ一覧
プラットフォーム J2300 J4300 J6300 M7i M10i
サイズ 1U 2U 2U 2U 8U
固定ポート FE×2 FE×2 FE×2 FE×2 or 1GE(SFP) none
カードスロット 固定WAN×1、固定拡張×1 オープンスロット×6 オープンスロット×6 PCIスロット×4 PCIスロット×8
インタフェースカード T1×2/E1×2/シリアル×2 T1×2/E1×2/FE×2/シリアル×2/T3 T1×2/E1×2/FE×2シリアル×2/T3 多数 多数
メモリ 256/512Mバイト 256/512Mバイト 256/512/1024Mバイト 256/512/768Mバイト(FEB&RE用) 256/512/768Mバイト(FEB&RE用)
冗長化 なし なし 電源 電源、冷却 完全冗長化
サービス ソフトウェア ソフトウェア ソフトウェア オプションの内蔵ASM AS PIC

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