「P2Pトラフィックに悩む事業者に」――アロット、帯域制御装置の新モデルを発表

アロット コミュニケーションズは、帯域制御を実現するネットワークアプライアンス「NetEnforcer」の新モデルを発表した。

» 2004年11月04日 16時52分 公開
[ITmedia]

 アロット コミュニケーションズは11月4日、帯域制御やサービスレベルの保証などを実現するネットワークアプライアンス「NetEnforcer」の新モデルを、2004年末から2005年第1四半期にかけて投入する計画を明らかにした。

 NetEnforcerは企業のほか、通信事業者やサービスプロバイダー、CATV事業者などを対象としたQoSアプライアンス製品。単なるポート単位/プロトコル単位ではなく、「ディープパケットインスペクション技術」を用いてアプリケーションやトラフィックフローの中身を把握し、その上で通信を制御できる点が特徴という。

 「NetEnforcerでは、パケットヘッダーだけでは分からない情報を把握できる。単に、そのトラフィックがP2Pアプリケーションによるものであることを認識するだけでなく、それがWinMXかKaZaAか、あるいはWinnyによるものかといったことも判別する」(イスラエルのAllot Communitacionsでテクノロジー・マーケティング担当上級副社長を務めるアジ・ローネン氏)。

 多くのサービスプロバイダーは、特にP2P型ファイル共有アプリケーションによって生じるネットワークへの負荷に悩んでいる。NetEnforcerを用いてそうしたアプリケーションのみに制限を加えれば、回線インフラへの余分な投資を行わずに済ませることができるという。

 さらに、高品質のビデオストリーミングといった付加価値サービスには帯域を優先的に割り当るようにすることで、追加課金の見込める付加価値サービスにつなげることができる。このビデオ配信サービスを利用している同じ加入者が、P2Pアプリケーションを立ち上げたとしても、後者の帯域は制限させるといった運用が可能という。

 こういった点が評価されてか、国内でもCATV事業者を中心に、二十数社のサービスプロバイダーがNetEnforcerを採用している。中でも、IPフォンのサービス品質を維持するためのトラフィック管理やP2P型ファイル共有アプリケーションの制限を目的にするケースが多いということだ。

パフォーマンスは2倍以上

 同社は昨年6月に、ネットワークプロセッサによって2Gbpsのスループットを実現する「NetEnforcer AC-1000」シリーズをリリース済みだ。今回発表された「NetEnforcer AC-1040」および「NetEnforcer AC-2500」は、その強化版/上位版に当たる。

 NetEnforcer AC-1040は、スループットは2Gbpsのままだが、搭載ポート数を従来の最大4ポートから8ポートに強化し、さまざまなネットワーク構成に対応できるようにした。

 一方のNetEnforcer AC-2500シリーズには、2510、2520、2540という3モデルが用意されている。いずれも最大スループットが5Gbpsと、パフォーマンスが大幅に強化された。きょう体には2個から8個のポートを搭載でき、インタフェースとしてギガビットイーサネット/ファストイーサネットのほかPoS(OC-3/OC-12/OC-48)が選択できる。

NetEnforcer AC-2500シリーズ NetEnforcer AC-2500シリーズのきょう体

 市場には、パケッティアやP-Cubeを買収したシスコのような競合もいる。しかしローネン氏は、「パケッティアはエンタープライズに注力しており、サービスプロバイダーレベルのパフォーマンスを実現できる製品を持たない。またシスコおよびP-Cubeと比べた場合、プロビジョニングやアカウンティング、管理などを含んだ包括的なソリューションを提供できる点が強みになる」と主張している。

 さらに「Allotでは、たとえば日本特有のP2Pアプリケーション(=Winny)に対応するといった具合に、日本市場向けの機能強化にも取り組んでいる」(ローネン氏)。

 新製品の価格はいずれもオープンプライスで、AC-1040は12月より、AC-2500シリーズは2005年3月より順次販売が開始される。なお、NetEnforcer AC-1000シリーズの米国での価格は、構成によって2万5000ドルから9万ドルとなっており、「新モデルは、(AC-1000シリーズに比べ)パフォーマンスは2倍以上で機能も強化されているが、価格は2倍以下に抑える」(同氏)方針という。

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