意外と速い! Windows上でそのまま起動できるcoLinuxUNIX USER 2004年11月号特別企画より転載(3/3 ページ)

» 2004年11月05日 20時00分 公開
[UNIX USER]
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coLinuxのカスタマイズ

 起動用のBATファイルを見ていただくと分かるが、CygwinのXであるXWin.exeとそのXサーバーへの接続を許可するxhost.exeが起動され、最後にCygwinのrunコマンドの引数として、coLinuxが次の書式で起動されている。

colinux-daemon.exe -c <XMLファイル>

 coLinuxのカスタマイズは引数のXMLファイルで調整できる。たとえば、タグの中に、次のような記述があれば、512MBのメモリ環境として起動する。

<memory size="512" />

 用意されているXMLファイルを見比べていろいろと試してみよう。

最近のマシンならかなり実用的

 coLinuxの実行速度はどのくらいのものだろうか? 最後にHDBENCH clone*を使った簡単なベンチマークを紹介しよう。

 テストに使ったマシンのスペックは表1のとおり。CygwinのX、商用PC XサーバーとしてASTEC-X*、QEMU、通常のCD-ROMブートの4通りについて、KNOPPIX起動後にHDBENCH cloneのソースをダウンロードし、「time make」によるコンパイル時間と、HDBENCH cloneを測定した。結果*表2、3のとおり。それぞれ体感として違いが分かり、HyperThread世代のマシンならCygwinを使っても快適に使えるレベルのようだ。ASTEC-Xを使った場合だとさらに速く、とくにコンソール操作時に違いがあった。

表1 テストに使ったマシンのスペック
CPU Pentium4/3.2GHz(HT)
チップセット i875p(ASUS P4C800 DELUXE)
メモリ 1GB
ビデオ NVIDIA GeForce FX 5900XT


表2 HDBENCHのコンパイル時間(秒)
Cygwin ASTEC-X QEMU 通常ブート 参考※1
real 4.490 3.568 5.371 3.4760 4.882
user 1.660 1.170 2.830 2.8300 2.040
sys 2.810 2.390 2.600 0.2720 2.830
※1 Pentium4/2.26GHz、i845G、512MB、Windows 2000、Cygwin

表3 HDBENCH cloneの結果
Cygwin ASTEC-X QEMU 通常ブート 参考※1
ALL 203302 223843 −※2 260733 66859
FLOAT 101774 106205 48138 108783 70579
INTEGER 272490 284172 74757 288051 191322
MEMORY 137968 146491 22024 138326 39519
RECTANGLE 14427 19469 15248 50662 1635
CIRCLE 15079 10980 8301 68989 736
TEXT 29300 39794 5555 97243 728
SCROLL 27 210 55 134 9
IMAGE 0 0 22 157 0
READ 806596 582542 −※2 1048576 275941
WRITE 655360 1048576 −※2 806596 88115
※1 Pentium4/2.26GHz、i845G、512MB、Windows 2000、Cygwin
※2 ストレージ検査時にエラー終了で計測不能

 これからのLinuxユーザーだけでなく、Windowsを普段使う機会があるユーザーには定番になりうる有力な環境であるので、せひ一度使ってみていただきたい。

このページで出てきた専門用語
HDBENCH clone
Windows用ベンチマークツールとして定番のHDBENCHのLinux版。CPU演算、描画、メモリアクセスなど、クライアントマシンのひととおりの試験が可能。
http://www.vector.co.jp/soft/unix/hardware/se102164.html

ASTEC-X
ASTEC-Xを利用するには、ASTEC-Xのウィンドウモードを「マルチウィンドウ」に、Xサーバーの設定で「サーバーをリセットしない」にチェックを入れておく。

結果
ドライブシークやCPU切り替えの仕組みが要因と思われる測定タイミングによる差が出やすかったが、それぞれ場合で体感できるほど違いがあったので、測定結果はソースの取得/展開を行い、コンパイルから実行までの動作を一気に行ったフローでの1回の測定値である。数値は参考程度に見ていただきたい。


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