中国進出企業をサポート、アジア・ネットコムが東京にDWDMネットワークを構築

アジア・ネットコムは、都内に持つIPネットワークをDWDMで再構築したことを明らかにした。

» 2004年11月11日 23時04分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 アジア・ネットコムは11月11日、都内に持つIPネットワークをDWDMで再構築したことを明らかにした。企業向けに提供するIPサービスを充実させ、それに伴い増加するIPトラフィックに対応する。

 同社はチャイナ・ネットコムの100%子会社。アジア太平洋地域の企業やISP、通信事業社向けに、都市間接続、データ通信、IPベースのソリューションを提供している。アジア地域に1万9500kmにおよぶ海底光フイバーケーブルを所有するという。また、アジアと中国本土など、主要な都市間を直接つなぐアクセス回線をグローバル企業向けに提供しており、2005年には中国の青島に自社所有の海底ケーブルが開通する予定だ。今後、中国へ進出しようとする日本企業向けにネットワークインフラを提供する考えという。

 シャープ、ブラザー、日本ビクター、コニカ、ミノルタ、NEC、ミネベア、日立製作所などが顧客企業として紹介されている。

 同社は、IPサービス「POP(point-of-presence)」を都内4カ所で運営する。従来は、他社からの借り受けたネットワークでPOP間を接続していたが、今回すべてのPOPにおいてDWDMを使った高速インフラネットワークを構築した。自社ネットワークに切り替えることで、より顧客満足度の高いサービスを提供できるという。

 ちなみに、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplex)は「高密度波長分割多重方式」の略。光ファイバーを使った通信技術の1つで、波長の違う複数の光信号を同時に利用することで、光ファイバーを多重利用する方式だ。

 DWDMネットワークに切り替えることによるメリットは幾つかあり、1つはコストダウンだ。自社回線に切り替えることにより、柔軟なコスト管理が可能になる一方、顧客企業にもリーズナブルな価格でサービスを提供できる。

 また、安定性と拡張性が向上することも挙げられる。自社のDWDMネットワークを利用することにより、サービスやパフォーマンスを安定させることができる。今後増えるIPトラフィックや、市場ニーズに合わせたネットワークの拡張が可能になるとしている。さらに、柔軟かつ迅速な対応も可能になる。新しい回線の要望や設定内容の変更、増速の依頼などに、柔軟かつ迅速に対応できるようになるだけでなく、障害対応もスムーズにできるとしている。

 同社は現在、すでに導入済みの4つのPOPに加え、NFパークPOPへのDWDMの導入も進めており、2005年1月に完了する予定。導入後は東京・名古屋・大阪をつなぐ自社のバックホールに直接接続されることになるため、NFパークにおいて、これまでのLayer2のサービスだけでなく、Layer1とLayer3のIPサービスも提供できるようになる。

 日本法人であるアジア・ネットコム・ジャパンの取締役ネットワーク技術部長、石井秀雄氏は、「今回のネットワークの再構築は最終的に次世代ネットワークとしてGMPLSネットワークの導入も視野に入れている」と話す。

石井秀雄氏

 同社は、所有している光ファイバーケーブルにさらにGMPLS技術を組み合わせることで、今後のアジア地域内のIPトラフィック増加に対応し、より一層のネットワークリソースの集約化と効率的な活用を進める考えだ。

 GMPLS(Generalized Multi Protocol Label Switching)は、光ネットワーク上の信号をルーティングするための技術。MPLSでは、パケットにラベルを付加してルーティング経路を指定していたが、GMPLSでは光信号の波長を元にルーティング経路を決定したり、制御専用のIPチャネルを用意して実データは光信号のままルーティングするといった処理を行う。

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