災害対策システムをより構築しやすくEMC Forum 2004レポート(1/2 ページ)

EMC Forum 2004のセッションでは、「CLARiX Disk Library」をリモートに配置することで構築する災害対策システムを紹介。災害対策システムで共同検証を行っているノーテル、NTT Comとの合同で講演した。

» 2004年11月19日 09時00分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]

 災害対策システムを構築する上で、ネットワークとストレージは両輪をなす重要なITインフラである。EMC Forum 2004のセッション「構築しやすくなった災害対策システム」では、EMCをはじめノーテルネットワークス(ノーテル)、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の合計3人のスピーカーが登壇し、EMCのRemote CDLをはじめ、米国においてノーテルネットワークスとEMCが展開中のディザスタリカバリー(DR)ソリューション、さらにはNTTコミュニケーションズの新しいネットワークサービスのコンセプト「IT-RPN」など、災害対策への応用例が紹介された。

効果的なDRに変身させるRemote CDL

 EMCジャパンのジャパン・ソリューション・センター(JSC)の今井文夫氏は、低コストのDRソリューションおよび同社の「Remote CDL」について説明を行った。

今井文夫氏 EMC JSCの今井文夫氏

 「今年、EMCではリモートレプリケーション機能を備える低価格製品が拡充された。同時に、EMCだけでなく専門知識を持つベンダーとの共同検証が行われるようになったことで、災害対策システムが構築しやすくなった」と同氏。

 ストレージベンダーであるEMCとしては、アプリケーションの仕様や回線回りの細かい動作については、共同検証することで厚みを増そうとしてきた。ストレージ間のレプリケーションソフトを提供しているものの、それだけは災害対策として不十分だからだ。回線やアプリケーションをフェイルオーバーするところまで、徹底しなければ災害対策システムは実現できない。

 アプリケーションについては、特にWindows、SAP、Oracleに的を絞って検証を進めてきた。IPセグメントを越えたクラスタリングを可能にするLegatoのAAMを利用して、SQL Serverのフェイルオーバー検証を行ってきたほか、2004年夏には非同期レプリケーションを可能にする「MirrorView」を提供し、NTT ComなどとExchange Server上での動作検証も行っている。

 「こうした活動から、低コストのアプリケーションレベルのDR1システムと、LUNレベルのコンシステンシーができることが分かった。以前は、Symmetrixがすべてのレベルをカバーしてきたが、そこに低コストのDRが割り込んできたわけだ」

 続いて今井氏は、Remote CDLを紹介した。

 このRemote CDLについて理解を深めるために、バックアップとDRは目的が違うということを明らかにしたい。バックアップ、DRとも、ある障害を元に戻そうという根本的な目的は同じだが、バックアップは論理障害に対応するもの、一方のDRは物理障害に対応する点が異なる。さらに、バックアップは複数世代を対象にして、部分復旧を行うが、DRは基本的には1世代だけを対象に全体普及を行う。そこで、通常はこの2つを併用することが多い。

 さらにDRを大別すると、レプリケーションによって実現するものと、テープ搬送によって行うもののがある。しかし、この中間に位置するものがRemote CDLである。

 Remote CDLのCDLとは、「CLARiX Disk Library」の略で、ATA対応HDDを搭載したEMCの仮想テープライブラリである。テープと異なりランダムアクセスが可能なため、特にリストアが高速に行える。また、仮想化によるリソースの有効利用や、テープ装置のコンソリゼーションが可能といったメリットを持つ製品といえる。このCDLをローカルではなく、リモートサイトに設置して災害対策システムを構築しようとするのが、Remote CDLソリューションである。

 「CDLをローカルに置いておくと、単なるバックアップにしかすぎない。バックアップ後に、リモートに書き込むという別の作業が発生するからだ。ところが、CDLはバックアップソフトウェアからはテープとして認識されるため、リモートサイトでCDLを利用すればDRとして使える」

 つまり、レプリケーションとRemote CDLを使うことで、ほぼすべてのユーザーに対して、1日以内に復旧させられるようなソリューションを提供することができるわけだ。そして、このRemote CDLとSymmetrixを合わせれば、フルレンジでDRに対応できるというのがEMCの考えだ。

ノーテル、NTT Comとのコミュニケーション

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