Oracleは売り? 懐疑論が渦巻くPeopleSoft買収(1/3 ページ)

18カ月の泥仕合には終止符が打たれたが、Oracleの前途は多難だ。顧客やアナリストらからは懐疑論が噴出している。「買収額は法外。売りを勧めるタイミングを探る」という財務アナリストまでいる。(IDG)

» 2004年12月14日 17時17分 公開
[IDG Japan]
IDG

 PeopleSoftがOracleによる買収に合意したことで、両社の顧客にとって18カ月にわたって続いた不透明な状況にようやく終止符が打たれたが、この闘争の勝者には新たな試練が待ち受けている。

 「Oracleはわれわれの支持をまだ得ていない」と言うのは、PeopleSoftの顧客のアンドリュー・アルバレル氏だ。同氏は、コロラド州デンバーにある人材派遣会社、Remyの経営責任者で、PeopleSoftの財務管理ソフトウェアスイートを利用している。「Oracleから明確なメッセージが伝わってこない」と同氏。

 アルバレル氏は、PeopleSoftの会計四半期末となる12月末まで待ってからソフトウェアの追加モジュールを購入する予定だった。しかし同氏は、この購入計画を棚上げし、RemyのERP(Enterprise Resource Planning)システムのメンテナンスに関して幾つかの選択肢を再検討するつもりだという。

 「新しい機能が必要になった時点でアプリケーションを社内で開発するという方法や、サードパーティーのメンテナンスプロバイダーなども検討したい」とアルバレル氏は話す。

サポートは大丈夫?

 ダコタ州立大学のCenter for Remote Enterprise System Hosting(CRESH)でPeopleSoftプログラム担当ディレクターを務めるジョン・ウェブスター氏によると、OracleはPeopleSoftの顧客をサポートするという方針を繰り返し表明しているが、彼らが期待にこたえられるかどうかまだ分からないという。

 「はっきりしないことが多い。彼らは約束を守るのだろうか。買収が成立するまでは、サポートの約束は1つのマーケティングツールだったかもしれないが、今やそれはコスト負担となることがはっきりしたのだ」とウェブスター氏は指摘する。

 ウェブスター氏が担当しているプログラムは、ほかの教育機関でPeopleSoftのソフトウェアの導入を支援できるよう学生を訓練するというもので、現在、CRESHをPeopleSoftサービス専門会社として立ち上げる準備が進められている。

 ウェブスター氏はこの数カ月、アプリケーションのメンテナンスの社外委託に関する選択肢を探しているPeopleSoftの顧客から問い合わせを受けているという。同氏は、Oracleによる買収はCRESHのビジネスを変えるが、打撃を与えるものではないと考えている。

 「われわれは新たなチャンスに期待している。顧客は今でもPeopleSoftのソフトウェアを信頼している」と同氏は話す。

買収はデータベース拡販の機会に過ぎない

 Meta Groupのソフトウェアリサーチディレクター、デビッド・ヨッケルソン氏によると、今回の買収が直ちにPeopleSoftの顧客に影響することはないが、ソフトウェア業界の方向に変化を及ぼすという。OracleはPeopleSoftの買収が、エンタープライズアプリケーション分野をリードするSAPと対抗する上で有効な手段であるとしているが、ヨッケルソン氏は、Oracleにとってはインフラソフトウェア市場でのシェア拡大に向けた新たなチャンスの魅力の方が大きいとみている。

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