Oracleは売り? 懐疑論が渦巻くPeopleSoft買収(2/3 ページ)

» 2004年12月14日 17時17分 公開
[IDG Japan]
IDG

 「これは元々、アプリケーション資産をめぐる争いではなかった。アプリケーションを手に入れることが、OracleをSAPの競合企業のレベルに直ちに引き上げるわけではない」とヨッケルソン氏は話す。

 同氏によると、この買収でOracleが手に入れるのは、自社のデータベース、アプリケーションサーバおよびその他のインフラソフトウェアをPeopleSoftの顧客ベースに売り込むチャンスだという。つまり、PeopleSoftのアプリケーションの運用基盤としてOracleの製品を利用してもらうのだ。Oracleは既にこの市場である程度のシェアを確保しているが、PeopleSoftおよびJ.D. Edwards(PeopleSoftが昨年買収)と緊密な協力関係にあったIBMも市場に食い込んでいる。

 IBMとPeopleSoftは9月、ミドルウェア提携契約を結んだ。当時のPeopleSoftのCEOだったクレイグ・コンウェイ氏は、これを「両社の歴史上最も重要なアプリケーション提携」と表現した。「PeopleSoftとIBMは向こう5年間にわたり、共同開発/販売活動に10億ドル投資する予定だ」とコンウェイ氏は話した。

 しかしそれから2週間もたたないうちに、コンウェイ氏はCEOを解任され、PeopleSoftの取締役会はPeopleSoft創業者のデビッド・ダフィールド氏を後任に据えた。

 なお、PeopleSoftとの提携の今後について12月13日にIBMにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

打撃を受けるIBM、SAPには有利?

 一部のアナリストは、OracleとPeopleSoftの合併で最大の打撃を受けるのはIBMだと指摘する。カリフォルニア州バークレーにあるEnterprise Applications Consultingのアナリスト、ジョッシュ・グリーンバウム氏は、「最大のアプリケーションパートナーが今や、最大の競争相手になった」と話す。

 グリーンバウム氏によると、SAPの場合、アプリケーション分野で巨大なライバルが登場することが同社に追い風となる可能性もあるという。同社は昨年、集中力を欠いたPeopleSoftとOracleからビジネスを奪う形で米国での事業を拡大した。「強力な競争相手を前にすると企業は大きな力を発揮するものだ」と同氏は話す。

 SAPの広報担当者ビル・ウォール氏によると、アナリストが指摘するように、同社はPeopleSoftとOracleの紛争で恩恵を受けたと考えており、今後もその恩恵が続くことを期待しているという。

 「われわれは当初から一貫して、どのような結果になろうともSAPは競争で有利な立場にあると考えていると言い続けてきた。不確実な時期は決して過ぎ去ったわけではない。Oracleは今後長期にわたる統合期間を控えている。この作業は容易ではない。当社は暴風雨の海から逃れるための避難港のように見えることだろう」とウォール氏は話す。

Oracleは売り?

 NASDAQ市場でのOracleの株価は12月13日、10%高の14.63ドルで取引を終えた。しかし同社では、PeopleSoftの買収は、Oracleが支払うことに合意した103億ドルという金額に値することをウォール街に理解させる必要があるとしている。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ