PeopleSoftは「PeopleSoft Connect 2004」でIBMとの提携強化を発表した。コンポジットアプリのプラットフォームとしてWebSphereミドルウェアを採用、最適化していくもので、同社が初めて公にした「SOA」戦略といえる。
PeopleSoftは米国時間の9月21日、サンフランシスコのモスコーニセンターで開幕した年次ユーザーカンファレンス「PeopleSoft Connect 2004」でIBMとの提携強化を明らかにした。クレイグ・コンウェイ社長兼CEOが「これまでで最もアグレッシブ」と呼ぶ両社の提携は、IBMのWebSphere製品群を「コンポジットアプリケーション」のための標準プラットフォームとして採用し、最適化を図っていくもの。同社が初めて公にしたWebサービス戦略であり、サービス指向アーキテクチャ(SOA:Service Oriented Architecture)戦略といえる。
変化に対して柔軟に即応できる「SOA」がゴールという点で業界はほぼ一致している。基調講演に登場したクレイグ・コンウェイ社長兼CEOも、コンピューティングは「アダプタブルビジネスプロセス世代」へと移行し、異なるベンダーのパッケージやカスタムアプリケーションのコンポーネント(Webサービス)を簡単に組み合わるコンポジット型アプリケーションの世界が到来するとみる。
Webサービスではミドルウェアの役割が極めて重要になる。異種混在環境でビジネスプロセスをつながないといけないからだ。コンウェイ氏は、IBMを「鋼(はがね)のようなミドルウェアベンダー」と呼び、全幅の信頼を寄せる。
「われわれはWebSphereを生かし、そのプラットフォーム上で顧客により高い付加価値を提供していくことを決めたが、SAPは柔軟性の限界を“長所”として売り込もうとしている」とコンウェイ氏はライバルを皮肉る。
インターネット標準への対応が後手に回ったSAPは、一気にその差を詰めるべく、SOA戦略の中核としてSAP NetWeaverをリリースした。同社固有の4GLであるABAPとJ2EE標準をどちらもサポートするアプリケーションサーバを基盤とし、プロセスインテグレーションやポータルをはじめとするさまざまな機能が統合される。もちろん、アプリケーション間の連携にはWebサービス標準を採用するが、コンウェイ氏は、「SAPは固有のアプリケーションサーバがなければWeb化できない」とし、彼らのアプローチを一蹴した。
PeopleSoftのSOA戦略には具体的な名称も与えられていないが、コンウェイ氏は「われわれは良いポジションにいる」と話す。
同社はどちらかというと焦点を絞り込むことによって成功を収めてきた。彼は、「ストラテジック&オペレーショナルプラン」「ビジネスプロセス」「アプリケーション」、そして「インフラストラクチャ」の各プラットフォームレイヤからなる「アダプタブルビジネスアーキテクチャ」を描き、インフラはIBMに任せ、柔軟性が高く再利用可能なパッケージアプリケーションの強みを生かしてさらに上位のビジネスプロセスに力を注いでいくとした。
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