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» 2004年12月17日 09時00分 公開

運用管理のITIL対応に強み――東芝ソリューション

運用管理を最適化するための取り組みの1つとして、「ITIL」(IT Infrastructure Library)への注目度が高まっている。ITILへの取り組みについて、東芝ソリューションに聞いた。

[怒賀新也,ITmedia]

 企業の情報システム部門の担当者は、ユーザーからの質問に対応するだけでなく、サーバやストレージの障害や性能劣化などを検出し、原因の特定、復旧という運用管理のプロセスを日々こなす必要がある。運用管理に関するこうした機能は、ITの進化によって徐々に自動化できる範囲が広がってきている。そして現在、ITの潜在能力を最大限に引き出して、運用管理を最適化するための取り組みの1つとして、「ITIL」(IT Infrastructure Library)への注目度が高まっている。

 ITILとは、1980年代後半に英国政府のOGC(Office of Government Commerce)が、ITサービス管理、運用規則に関するベストプラクティスをまとめた書籍のこと。情報システム部門が、ITサービスを最適な形で管理するための業務プロセスや手法を体系化しており、ITに関する社内規則や手順などを設定するためのガイドラインとして、広く企業に利用され始めている。幾つかのIT企業がITILに対応したソリューションを展開する中で、今回は、その1つである東芝ソリューションに具体的な話を聞いた。

 東芝ソリューションは、製造業、流通、金融、通信など、幅広い業種に運用管理ソリューションを提供している。具体的には、2003年までにhp OpenViewの導入実績は450サイト、CiscoWorksは120サイト、Tivoliは45サイト、JP1は40サイトに上る。これに関連して、Hewllet-Packerd(HP)やCisco Systems、IBMとのつながりも強く、OpenViewやTivoliに関しては、米国の開発元に技術者を派遣しているほどだ。

 前身の東芝時代を含めると、東芝ソリューションのITILへの取り組みは2000年からはじまっており、他社に比べても古い。ITILの普及促進を目的として設立されたITサービスマネジメントフォーラム(itSMF)ジャパンにも、2003年の設立と同時に加入した。

 ITILに関連して同社が提供するソリューションは、下位から、ネットワークやサーバ、ストレージなどを対象とする「ITインフラ管理」、サービスレベルや可用性、変更管理を含む「ITサービス管理」、さらに、ビジネスプロセス管理やBAM(Business Activity Monitoring)を含む「ビジネス管理」の3階層に分けられる。

「ITIL度」を診断

 ITILへの具体的な取り組みとして、同社は、企業の運用管理がどれだけITILに準拠し、効率化されているかを診断するサービス「ITサービス管理アセスメント」を提供している。ITILで定義されているサービスサポートや、サービスデリバリといったプロセスごとに、達成度を数値で把握し、ビジュアル化して顧客企業に知らせることが特徴だ。達成度を改善するために、どんな取り組みが必要であるかといった指摘も受けられる。

ITサービス管理のイメージ。項目ごとにパーセント形式で評価される。

ITIL新規ユーザー向けにパッケージ

 診断結果を見て、自社のシステムに危機感を持った企業が利用を検討するのが「ITサービス管理スターターパック」だ。これは、ITILをベースとした運用管理プロセスを手軽に導入したい企業向けに、設計、構築、教育、保守までをパッケージ化したもの。

 ITサービス管理スターターパックでは、OpenView Service deskを利用して、顧客からの問い合わせや障害報告の管理、窓口としてのすばやい対応を可能にする「サービスデスク」などさまざまな機能が提供される。各種の運用管理ツールと連携してシステムの障害管理を行う「インシデント管理」、障害報告や顧客からの問い合わせの内、原因の調査が必要なものについて進ちょく状況や担当者などを管理する「問題管理」、システムを構成するハードウェア、ソフトウェアを登録して一元的に管理する「構成管理」などもここに含まれる。

インシデント管理の画面

 一方、ネットワーク管理をシステム化したい企業向けには「integrated NMS」(integrated Network Management System)が提供されている。これは、障害検出、障害通知、障害の切り分けといった基本機能をパッケージ化したものだ。ITサービス管理スターターパックとintegrated NMSを組み合わせることで、障害の検知、通知、切り分け、原因特定、復旧という一連のサイクルをサポートできるため、企業は運用管理を飛躍的に効率化できる。

運用管理の質を向上するシステム品質アラーム

 ここまで紹介したITサービス管理スターターパック、ITサービス管理アセスメントは、現場の運用管理の質を向上させるために提供されている機能だ。同社では、さらに、現場で蓄積した情報をもとに、企業全体のシステム品質をさらに高めるためのソリューション「システム品質アラーム」を提供している。これもITIL準拠だ。

 システム品質アラームは、システム部門が蓄積した運用管理情報を基に、「なぜ障害が起きたのか」を問う要因分析を行う。さらに、それに対応した施策の決定、プロジェクトとしての実行管理までをサポートしてくれるという。また、過去のデータからシステムとしてのリスク報告を行う機能も組み込まれるなど、システム運用におけるプロセスを総合的に管理できるソリューションとなっている。

システム品質アラームのイメージ

 導入企業は、ヘルプデスクから上がる貴重な情報を、余すことなくシステム品質アップにつなげることができるわけだ。また、分析の結果はダッシュボード形式で参照できるため、情報システムの状況を包括的に把握しておきたい経営者にとっても有用と言える。

 このように、東芝ソリューションは、ベストプラクティスとしてのITILを重視しながら、運用管理に関するさまざまなサービスを提供している。

 ところで、自製ツールを持たない同社に、企業が運用管理システムの構築を依頼するメリットはどんなことだろうか。

 同社プラットフォームソリューション事業部で運用管理ソリューショングループのリーダーを務める花井克之氏は、「ITILはインフラ管理からサービス管理、セキュリティ等、幅広い領域にまたがっており、単一ベンダのツールセットだけで全ての機能をカバーすることは難しい。ITILという切り口で、さまざまなベンダの管理ツールから適切なものを組み合わせて実装することが重要」と話す。

 つまり、マルチベンダ環境における多数の導入実績やノウハウを持つ東芝ソリューションの強みがここで発揮されるというわけだ。高額のIT投資を無駄にしないためにも、動作検証を含めて導入を支援してくれる同社は、ユーザー企業の強い味方になっている。

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