ベンチャー企業のKATANA、サーバ仮想化技術で名乗り(1/2 ページ)

ボストンのベンチャーがVAX譲りの仮想化技術を引っ提げて名乗りを上げた。その名も「KATANA」。OSの下でハードウェアを仮想化するのが特徴だ。

» 2004年12月16日 18時54分 公開
[IDG Japan]
IDG

 ボストンにある無名の新興企業が、低価格のPCで「仮想」マルチプロセッサシステムを素早く構成することを可能にする技術のベータテストを行っている。Katana Technologyという名前の企業で、社員数は30名。開発中の製品の詳細は明らかにしていないが、データセンターのリソースの統合に関してユニークな手法を開発したようだ。

 2003年に設立されたKatanaは、コンピュータハードウェア上(OSよりも下の層)で直接動作するソフトウェアを開発した。このソフトウェアは、1台のサーバ上で多数の仮想マシンを動作させることができる。仮想マシンというのは、ソフトウェアで構成される自立したOS環境で、アプリケーションやOSからは独立した1台のコンピュータのように見える。

 Katanaのスコット・デービス社長兼CTO(最高技術責任者)によると、競合デベロッパー各社のソフトウェアも、サーバ上で複数の仮想マシンを管理する機能を実現しているが、Katanaの技術では多数の小さなPCを1台の巨大な対称型マルチプロセッシングマシンのように振る舞わせることも可能だという。

VAXクラスタに似た方式

 Katanaの仮想化手法は、旧Digital Equipment(DEC)の「VAX」クラスタで採用された方式に近い。しかしDECの独自製品よりも遥かに広範に普及しているハードウェア/ソフトウェアに対応するようデザインされているのがこの技術の特徴だ、とデービス氏は説明する。同氏は、DECでVAXクラスタの技術ディレクターを務めた経験もある。

 Katana製品の最初のリリースは来年4月の予定で、Red HatとNovellのLinux OSディストリビューション、そしてIntelのx86プロセッサベースのハードウェアに対応するという。

 デービス氏によると、Katana技術の主要な長所の1つが、巨大なマルチプロセッサシステムにインストールするようなアプリケーションを、複数の低価格の小型デュアルプロセッサマシン上で動作できることだという。こういったアプリケーションには、データベースやERP(Enterprise Resource Planning)システムなどが含まれる。

 「アプリケーションを複数のシステムに分散するのは容易ではない。われわれは仮想化手法によってそれを実現した。これが他社には見られない最大の差別化ポイントの1つだ」とデービス氏は話す。

 Katana製品の詳細は、来年2月の正式な会社設立発表会で明らかにされる。同社ではそのときまでに、社名をVirtuOS Computingに変更する予定だとしている。

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