専門知識なしで使えるIBMのデータ同期化ツール

IBMのGDS for WebSphere Product Centerは見た目がOutlookに似ており、エンドユーザーも使える点が売りになるとアナリストは評価している。(IDG)

» 2004年12月22日 13時59分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米IBMは製品情報管理システムを手がける独立系ソフトベンダー(ISV)Trigoの買収資産を活用し、Trigoの技術と連係して、小売店とサプライヤーの間で製品データを同期化するミドルウェアコンポーネントを発表した。

 先週発表された「IBM Global Data Synchronization(GDS)for WebSphere Product Center」は、製品データの配布を処理し、これをデータプールで読める適切な形式にする。

 現時点ではフォーマットが統一されていない大きなデータプールがたくさん存在していると、AMR Researchの調査ディレクター、カラ・ロマナウ氏は指摘する。

 主要なデータプールには、Worldwide Retail Exchange(WWRE)やTransora、UCCNetなどがある。

 GDS for WebSphere Product Centerは、データプールのサブスクリプションやセキュアなデータ交換の前後、最中の取引パートナー間のメッセージも管理する。

 ロマナウ氏は、IBMにとって競争上の差別化要因となり得るのは、同社のGDSソリューションが技術的な専門知識がなくても使える点だとしている。

 「ほかの皆は技術者とともにトランザクションを管理しており、XMLの知識が必要となる。IBMのツールは見た目がOutlookに似ており、エンドユーザーも使える」と同氏。

 IBMの製品情報管理ディレクター、ダン・ドランカー氏は、製品データの管理・送信の問題はITによって解決できないと指摘する。

 「この製品は購買や販売の担当者が使える」とドランカー氏。

 IBMは先に「WebSphere Product Center」を発表した(7月20日の記事参照)。この製品はTrigoの技術を取り入れ、メーカーと小売業者向けの多数の属性を持った数千のSKU(最小在庫管理単位)を管理するためのデータリポジトリを作り出している。

 製品データの同期化を図る世界的な取り組みは完成にはほど遠い状態にあるが、いずれ注文した通りのものが届くことを保証し、出荷ミス、在庫レベル、店頭に商品が届かない可能性を大きく減らせるだろう。

 「取引パートナーが『商品番号XYZが欲しい』と言った場合、双方の間でその商品の色、サイズ、荷運び台当たりの商品数、荷運び台の大きさ、1つのコンテナに格納する荷運び台の数についての認識が一致することになる」(ロマナウ氏)

 とは言え、業界の採用状況はまちまちで、EAN.UCCが管理するGlobal Registryも全世界でサポートされているわけではない。EAN.UCCは、データプール間の相互運用に向けた標準に取り組む北米・欧州の合同組織。

 ほとんどの商品には、同期化が必要な属性が12〜600個ある。

 ドランカー氏によると、こうしたデータの同期化に関する取り組みは、3年前にWalMart Storesがサプライヤー2万社に対し、納入商品の情報をデジタル送信するための規格に従うよう指示した時から進められているという。

 IBM GDS製品には、業務レポート・分析機能も含まれる予定だ。

 「この製品は3万社のメーカーを見渡すことができる。中には、相変わらず私に不適切なデータを送ってくるところもある。また、製品販売の承認が遅いパートナーがどこか、早いのはどこかも分かる」(ドランカー氏)

 GDS for WebSphere Product CenterにはIBM DB2データベースと、顧客の選んだデータプールに統合されたアプリケーションサーバも含まれる。

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