手足を持つPC |
―― Speecysロボットキットを注文しているお客さんは、どのような方が多いのですか?
春日 実際に注文をいただいているのは、UNIXを触っている方が多いようです。ロボットマニアの方ではなくて、これからロボットを勉強してみようというUNIX系の方が多いのかなという印象があります。
―― UNIX系の方だと、自分で何かいじったり作ったりしたいという人は多いですからね。
春日 いま個人向けに販売されているようなロボットのCPUは、非力なものが多いんですね。OSなんて載せる余裕はなくて、オブジェクトをダウンロードしてそのまま実行という状態です。それらに比べると、Speecysはずっと環境が整っているといえます。ソフトウェア屋さんがすごくいじりやすい状態だと思いますよ。
これまでロボットを触っている方というと、制御系に興味を持っているようなハードウェア屋さんが多かったんですね。だから、ロボットというと、どうしても「メカ」的な要素が中心の話になっていたのです。
それに対して、Speecysという形で、ある程度いじりやすい拡張性のあるハードウェアと、必要なドライバやライブラリを用意したので、後はソフトウェア屋さんの出番、がんばってもらうところかなと考えています。
私たちは、ソフトウェア屋さんが何か面白いものを作りたくなるようなプラットフォームを目指していて、以前から、これは手足の生えたPCなんですよと話しているんですね。いままでは画面などに出していたものが、代わりに手足があって、動くようになったんですよと。
NetBSD採用の理由 |
―― OSのベースとしてNetBSDを採用した理由は?
春日 ライセンスですね。自由に使えるOSというとLinuxもありますけど、Linuxだとライセンス上ソースコードを公開せざるを得ないので。
―― そうすると、ソースコードの公開予定は?
春日 OSに関しては基本的にバイナリのみの配布で、ソースコードの公開予定はないですね。
―― 互換性は? ほかのNetBSD環境でクロスコンパイルしたソフトウェアをSpeecys上で動作させられますか?
宮重 互換性はあります。i386ベースのNetBSD上でクロスコンパイルしたものは動きます。しかし、LEDをはじめ独自に用意しているデバイスや、サーボの制御方式として採用しているRS-485などが関わってくる場合は、別売のライブラリを使って開発することになります。
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開発環境について |
―― 開発環境の価格は?
春日 10〜20万円ですね。内容によってLevel 0〜3の区分けがあり、どのレベルにするかで価格が違います。
―― 何かハードウェアやパーツを制作して、Speecysに接続して動かすことはできますか?
春日 RS-485による通信ができるものであれば使えます。ただ、何をやりたいのか、目的によってライブラリのレベルを選ぶ必要がありますね。
―― 操作する端末は、PCを想定しているのですか?
春日 PCとジョイスティックです。
宮重 Speecysの中でサーバーが立ち上がっていて、それにコマンドを送っているだけなので、その2つだけでかまわないのです。
―― 資料では、Webサーバーが載っているということですが?
宮重 Apacheを載せてあります。
―― Apacheに対してコマンドを送っている?
宮重 いえ。専用のコントロールモジュールがあって起動しています。独自パケットを定義してあるので、それに合わせてコマンドを送ってコントロールします。
―― クライアントソフトウェアはどのようなものがありますか?
宮重 コントロール用ソフトウェアがキットに付属していて、それを使って操作できるようになっています。
―― 想定クライアントOSは?
宮重 いまのところ、Windowsだけです。開発環境のほうはNetBSDを想定していますけど(笑)。
―― LinuxやBSD系OS向けに、ユーザーが自分でコントロール用ソフトウェアを作ることはできますか?
宮重 できますよ。もともとはそういった状態を想定していましたので。
―― そのときに必要な情報は、パケットの定義内容ですかね。
宮重 はい。クライアント側PCから操作する場合はそうですね。また、パケット定義内容は公開予定です。
―― たとえば、RubyやPerl、Pythonなどでスクリプトを組んでパケットを生成して、コマンドを送り込めるということですか?
宮重 できないことはないですね。あと、通常のUNIXプログラムが動くので、Speecys上で動作する自分専用のサーバーを組んで動かすこともできますよ。
―― サーバーを作ってもかまわない?
宮重 はい。Speecysの中にRC-485やサーボ用ライブラリがありますし。
―― そのときに待ち受けのサーバーに何を使うかですか。
宮重 それは、中に入っている一般的なソフトウェアを使ってもかまいませんし、自分でTCP/IPベースの専用のものを開発してもかまいません。
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