―― カーネルのチューニング内容について教えてもらえますか?
宮重 通常のカーネルの400倍くらい速くなっていて、ほぼ1ミリ秒の精度になるようにしています。カーネル自体のクロックスピードの定義をチューンアップして、マルチタスクのシェアリング間隔を極端に小さくしています。一般的な方法だと、100ミリ秒くらいにしかならないので、それだとサーボが制御しにくいのです。
―― それだけ切り替えが多いとCPUパワーを使うと思いますが、まだ余裕はあるのですか?
宮重 もうちょっと余裕がありますけど、あまり速くしすぎても(笑)。
春日 実用上は、約1ミリ秒でちょうどいい感じで動きますね。
宮重 リアルタイムカーネルではなくても、いけるかなという感じです。
| CPU | MPC5200(264〜400MHz、PowerPC 603eコア) |
|---|---|
| ROM | FLASH MEMORY 16MB |
| RAM | DDR SDRAM 128MB |
| OS | SpeecysOS(NetBSDベース) |
| FPGA | 各種タイミング生成そのほか |
| CFスロット | メモリカード CF×1、無線LAN(802.11b)用CFスロット×1 |
| Serial I/F | RS-232C×1ch |
| Audio I/F | AC97 CODEC対応 |
| Audio コネクタ | スピーカ×2、マイク×2 |
| Camera | NTSC |
| 表示用LED | 単色(色についてはT.B.D)×4 |
| RS485 Serial I/F | モータ・センサー類のI/F用×7ch |
| 外部用5V電源 | 5V×2ch |
| PWM出力 | PWM×2ch(頭部用) |
| サーバー機能 | WWW・FTP・TELNETサーバー |
| 外部寸法(mm) | W91×D55(突起物含まず) |
| 電源仕様 | DC9.6Vニッケル水素バッテリー |
| プロセッサユニットRPU-100仕様 | |
―― モーション関連ライブラリは、歩行エンジンとモーション再生エンジンの2種類ということですが?
宮重 モーション再生エンジンは、モーションエディタで作ったデータを再生するものです。歩行エンジンはその改造版で、歩行しているモーションデータを再生するものですね。
―― 無線LANで通信してモーションデータを送っているのですか?
宮重 いえ、送っているのはコマンドだけです。モーションデータは、CFカードの空き容量部分が約30MBあるのでそこに置いたり、オンメモリで持てるようになっています。そこに、任意の番号のモーションを再生しろといったコマンドを送っているのです。
―― 登録できるモーションデータの数はいくつくらいですか?
宮重 モーションデータは1ファイル当たりだいたい200KBなので、好きなだけ登録できますよ(笑)。
―― タイムスライスはどれくらいですか?
宮重 制御的には、サーボが受け付ける10ミリ秒ですね。ただ、モーションを作るときには、タイムスライスは別にないんですよ。
春日 例えば、「あるポーズから次のポーズまで10秒で動け」と命令すると、モーション再生エンジンが自動的に補完しながら動作します。キット付属のモーションエディタで手軽に動きを付けられるので、いろんな人に挑戦してみてほしいですね。
NetBSDベース、PowerPC採用、しかもソフトウェア屋のためのプラットフォーム作りを目指すロボットとなると、興味を持つUNIX USER読者は多いのではないだろうか。スピーシーズのWebサイトに詳細な情報があるので、我こそはという方はぜひ参照してほしい。
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