Intel、新体制で「プラットフォーム化」推進

半導体アーキテクチャを中心に部門を編成していたIntelだが、新組織は「プラットフォーム化」の戦略に合わせ、個々のプラットフォームに重点を置いたものになっている。(IDG)

» 2005年01月18日 16時04分 公開
[IDG Japan]
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 米Intelは1月17日、大規模な組織再編を行い、デジタルホームや医療などの分野にフォーカスした新部門を設立し、主要幹部の役職を変更することを発表した。

 同社は、モビリティ、デジタルホーム、デジタルエンタープライズ、デジタルヘルス、チャネルプロダクツの5つの新部門を発表。同社はこれまで、各部門(Intelアーキテクチャ部門や通信部門など)が製品に採用する半導体アーキテクチャを中心に部門を編成していた。

 この1年かけて、同社はプロセッサ市場へのアプローチを変えてきた。より高性能なプロセッサを売り込む代わりに、今はデスクトップ、ノートPC、PDAなど特定の製品に合わせて、デバイスの使い勝手やセキュリティを向上させる各種の機能を開発しようとしている。

 「今回の再編は、組織をプラットフォーム戦略に合わせて、新分野へと拡大し、成長しているチャネルビジネスにもっと重点を置くことに関連している」とIntelの広報担当ビル・キルコス氏は説明している。新部門の財務情報を個別に開示するかどうかについてはまだ決定していないという。

 新部門は、Intelがこれら個々のプラットフォームに集中する助けになるだろうと同社は発表文で述べている。新部門の責任者は、クレイグ・バレットCEO(最高経営責任者)とポール・オッテリーニCOO(最高執行責任者)の直属となる。バレット氏は5月に会長となり、オッテリーニ氏がCEOを引き継ぐ予定だが、オッテリーニ氏の後任はまだ公式には特定されていない。

 「ポール・オッテリーニ氏がIntelのプラットフォーム化について話し始めると、私はいつもうわべだけの改革構想なのだろうと思っていた」とInsight 64の主席アナリスト、ネイサン・ブルックウッド氏。しかしIntelは、Centrinoの成功で示されたように、システムの個々のコンポーネントよりも、システム全体の方が重要であるという考えを中心に会社を作り替える計画に明らかに真剣に取り組んでいたと同氏は語った。

 Intelは、新部門の多くで「two-in-the-box」管理戦略を採用している。この戦略の下では、2人の人物が特定の部門の責任を共有し、ほとんどの決定を2人がそれぞれ承認しなくてはならない。同様の構造は、Dellでも幹部レベルに至るまで採用されている。同社ではマイケル・デル会長とケビン・ロリンズCEOが意思決定の権限を共有している。

 モビリティ部門はショーン・マロニー氏とダディ・パルムッター氏が率いる。マロニー氏は執行副社長で、その前は通信部門の責任者だった。パルムッター氏はモバイルプラットフォーム部門副社長兼ジェネラルマネジャーだった。モバイルプラットフォーム部門はノートPC向けのCentrino技術にフォーカスし、新しいモビリティ部門はPDA・スマートフォン向けXScaleプロセッサを担当する。XScaleはこれまでマロニー氏が担当していた。

 IntelのWi-Fi・WiMAX製品への投資は、マロニー氏の下、モビリティ部門で続けられる。

 アナンド・チャンドラシーカ氏はモバイルプラットフォーム部門担当だったが、セールス&マーケティング部門でジェイソン・チェン氏に代わって部門長となる。チェン氏は家族の健康問題で1月末に退職する予定だ。チャンドラシーカ氏は、昨年9月にコンシューマー向けマーケティング改善のために雇われたエリック・キム氏とともにこの部門を率いる。

 ドン・マクドナルド氏は、リビングルームのデジタルエンターテインメント機器向けのプロセッサを開発するデジタルホーム部門を率いる。この取り組みはこれまで、デスクトッププラットフォーム部門内でルイス・バーンズ氏が担当していたが、バーンズ氏はデジタルヘルス部門の責任者となり、医療市場でIntel製品を売り込むチャンスを模索する業務を担当する。

 ヘルスケア部門はIntelにとって新たな重点分野だ。同社は、アルツハイマー病などの初期症状が出ても、高齢者が自宅で暮らせるよう支援する動作感知センサーのネットワークといった複数のプロジェクトを手がけてきた。この分野での取り組みについては、最近のInternational Consumer Electronics Show(CES)で詳しい説明が行われた。

 Intelがこれらのプロジェクトで掲げる目標は、管理にコンピュータ処理能力を必要とする新しいアプリケーションを開発するよう、他社を刺激することだった。同社は、次の段階として、センサーネットワークやナノスケールバイオコンピューティング機器などの製品を製造するかどうかは決めていないとキルコス氏は語った。

 Intelの企業顧客は、パット・ゲルシンガー氏とアブヒ・タルウォーカー氏に会うことが多いだろう。両氏はデジタルエンタープライズ部門の責任者を務める。タルウォーカー氏は17日までサーバ部門の責任者だった。ゲルシンガー氏の前のポストは研究開発を担当するCTO(最高技術責任者)だ。デジタルエンタープライズ部門は、PCからデータセンターサーバに至るまでの企業向け製品で使われるプロセッサを担当する。

 ゲルシンガー氏に代わり、Intelフェローのジャスティン・ラトナー氏が一時的に研究開発責任者を務める。ラトナー氏は、各分野で抜きん出た業績を収めたとして特別に選ばれたIntelの上級フェローの1人。

 バーンズ氏とともにデスクトップ部門を率いていたビル・シウ氏は、チャネルプロダクツ部門の責任者となる。この部門は各国の地域市場に向けた固有の製品を開発する。米国や西欧などの先進国でPCが成長しきっていることから、IntelなどのPC関連企業はアジア、アフリカ、南アメリカの新興市場を次の大きな成長源と考えている。

 テクノロジー&製造部門などほかの部門に変更はない。

 Intelはまた、オッテリーニ氏の後任として社長兼COOを務める人物を明かすことを控えた。このポストに関する予定を明かす準備ができていないとキルコス氏は語った。

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