コラム
» 2005年02月04日 08時00分 公開

個人情報保護コラム:法律施行直前、DMの送付停止を依頼してみた

個人情報保護法が施行されると、特にダイレクトメールを発送している企業に、直接的な対応が求められるかもしれない。個人や企業とって、対応に要する時間やコスト負担は今よりも増えそうだ。

[佐藤隆,ITmedia]

 4月の個人情報保護法の全面施行を前にして、すでに準備を整えた企業がある一方、これから検討する企業もある。その中でも、特にダイレクトメール(DM)を発送している企業には、直接的な対応が求められるかもしれない。

 本人に断りもなく、勝手に個人情報を集めて配達されたDMは、迷惑で紙資源の無駄だ。送り元の企業に今後の送付中止を依頼したらどうなるのか? 1月末に届いたDMを握り締めて、送付停止を依頼してみた。「保護法の施行前を理由に拒否したら、施行日には必ず……」。そんな思いを抱きながら。

配送業者によるDMの窓際対策

 送られてきたDMをよく見ると、これは郵便物ではなかった。最近増えている配送業者によるものである。人口が密集している都市なら、郵便物よりも安く配布できるので配送業者がDMを配達している。郵便物であれば、受け取り拒否の意思を明らかにして郵便ポストに投函すればいい。ところが、配送業者のDMではそれができない。その代わり、受け取る段階で拒否を表明する方法がある。

 一般には、配送業者も郵便受けを利用する。例えば、郵便受けに「郵便物専用<郵便物以外は絶対にダメ>」と書けばよい。しかしその場合、新聞や宅配業者の不在通知に対して別途配慮が求められる。そこで、まず配送業者に送付停止を依頼してみた。回答は次のような内容であった。

 「送り主に頼まれたので、配送している。どうしてもDMを止めたいなら、直接送り主と交渉してください」

 あくまでも委託されただけに過ぎないという立場である。DMの片棒を担いでいるのか、回答はそっけない。だが、この配達業者が送付を停止したとしても、もし送り主が配達料金のもっと安い別の業者に鞍替えすれば、DMは再び届いてしまう。根本的に解決するには、DMの中身を取り出し、製品を申し込む電話番号(フリーダイヤル)に電話するしかない。

個人情報は電話番号で管理していた

 申し込み用の電話番号には直ぐにつながった。相手は、製品の購入希望者と思い込んでいるので、製品の購入希望者ではないこと最初に伝えた。続けて、身に覚えのないDMが送られてきて迷惑していること、どうやって住所や氏名を入手したのか、今後のDMの送付をしないこと、以上3点を申し入れた。

 すると、別のオペレーターに回されてしまった。クレーム処理を担当する人のようである。今は個人情報保護法が施行される前ではあるが、先ほどの3点の申し入れを伝えると、こちらの電話番号を聞いてきた。そこで携帯電話の電話番号を伝えたが、それでは調べられないという。

 DMの宛名シールに貼られているシリアル番号で調べるものと思っていたら、固定電話の電話番号から検索するシステムであったのだ。つまり、個人情報の検索には固定電話の電話番号がキーになって行われる。普通の家庭なら固定電話は1台で十分用が足りるが、今回は、同じ住所に固定電話が複数引かれており、すべての電話番号を覚えていなかった。記憶している代表番号やFAX番号には、DMの送付に対する禁止手続きが済んでいた。

 そこで改めて電話することになった。翌日、DMが届いた住所で管理しているすべての電話番号を調べ、再び電話で確認したところ、1回線だけ、DMの送付中止手続きが行われていないことが判明した。直ちにDM送付中止手続きを行った。担当者から「これで手続きが完了しました」との言葉をいただき、当初の目的を達成することができた。

DMの送付停止に要した時間、コスト

 今回のDMの送付停止手続きは、電話だけで解決できた。手続きに要した通話時間は約20分、こちらが費やした通信費はゼロ円(フリーダイヤルを使用)、迅速な処理が行われていた。一方で、保護法が施行されると、個人情報の開示を求められた場合、企業側には実費に相当する妥当な手数料を徴収することを認めている。そして、個人情報に訂正が行われた場合には、遅延なく、本人に通知する必要がある。

 個人や企業とって、今よりも対応に要する時間やコスト負担は増えていくことになる。

佐藤隆プロフィール

セキュリティコンサルタント。セキュリティ監査、ペネトレーションテスト、情報セキュリティ教育などの情報セキュリティ業務に従事し、大学では非常勤講師を務める。BS7799オーディター、ISMS審査員資格を所有している。

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