Oracle 10g for Mac OS Xでエンタープライズ市場に挑むオラクルとアップル(2/2 ページ)

» 2005年02月10日 18時19分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 日本オラクルのテクノロジープロダクト統括本部でOracle 10gを担当する山本哲也マネジャーは、「アップルはサーバ市場に強くコミットしている。マルチプラットフォーム戦略を掲げるOracle 10gがMac OS X Serverに対応するのは当然」と話す。

日本オラクルの山本氏(右)とアップルの鯉田氏

 オラクルは、Oracle 10gの提供により、コモディティー化が進むIAサーバとLinuxを組み合わせたローコストなグリッドコンピューティング環境の実現をより前面に打ち出している。「Xserveがプラットフォームに加わることで、ローコストコンピューティング実現の基盤としてOracle 10gをさらに優位にしてくれる」と山本氏。

 実際のところ、Xserveで10gを稼動させたいという声が日本オラクルにも寄せられており、ある金融機関は「ローコスト」をその理由として挙げているという。

目指すはエンタープライズ市場

 Mac OS X Server版Oracle 10gに対する期待は、アーリーアクセス版のダウンロード件数にも表れている。昨年7月下旬からOracle Technology Network Japan(OTN-Japan)でDeveloper Releaseが公開されているが、毎月160以上のダウンロードがあり、総件数は1200を超えたという(2005年1月末現在)。

 アップルはデザインや印刷、あるいは映像業界に強みを持つ。オラクルにとってはこれまで馴染みのない分野であり、Mac OS X Server版を追加することで、コンテント管理ソリューションを売り込む大きな機会が生まれるが、山本氏は「目指しているのはエンタープライズ市場」と真正面から本丸に挑む同社の姿勢を明確にする。エントリーのStandard Edition Oneだけでなく、Standard Editionや大規模な高可用システムも構築できるEnterprise Editionをラインアップしたのはそのためだ。

 やはりコストパフォーマンスに優れたラックマウント型ストレージ、「Xserve RAID」と組み合わせれば、ROIを重視する企業顧客らにアピールできる。昨年12月のOracle OpenWorld San Franciscoで米Oracleは、ハイエンドストレージシステムの代替製品としてXserve RAIDの名を挙げ、自社の技術部門でもEMCやIBMのものから同製品への移行を進めているとした。

 Mac OS X Server版Oracle 10gによって、ローコストのソリューションを活用したい企業顧客に対してアップルが食い込む機会が生まれるだけでなく、オラクルにとってもXserveとXserve RAIDはローコストコンピューティング実現のための優れたプラットフォームとなるのだ。

 なお、2月24日、25日に都内で行われるOracle 10g Worldでは、両社によるOracle 10g for Mac OS Xのセッションも予定されている。

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