孤立していたSANが手を結ぶ、マクデータのGEDC構想

マクデータ・ジャパンは、複数のベンダーの製品で構築され、孤立していたSANを結びつけるGEDC構想を推進している。

» 2005年02月21日 17時12分 公開
[ITmedia]

 マクデータ・ジャパンは先日、複数のSANを統合した広域SANの構築を可能にするハイエンドダイレクタ「McDATA Intrepid i10K Director」をリリースした。同社製品のみならず、BrocadeやQlogicなど他ベンダーのSANスイッチを結びつけ、大陸間クラスの広域SAN構築を可能にするという。

 この製品は、同社の「グローバル・エンタープライズ・データ・センター」(GEDC)という構想の一部をなすものだ。IPネットワークの世界では、規模や用途に応じてコア/エッジ/アクセスが大まかに分けられ、それぞれに応じた製品が提供されている。GEDCはこれと同じ考え方をSANの世界にも持ち込むもので、i10K Directorおよび同社のダイレクタ、SANスイッチが階層構造をなす、という図式になる。

 「GEDCによって複数のデータセンターにまたがる一元管理が可能になるほか、冗長性の確保とシステム停止時間の最小化といったメリットも得られる」と、同社のカントリー・マネジャーを務める石本龍太郎氏は説明している。同一のアーキテクチャに基づくことから、まずエントリレベルのファイバチャネル(FC)スイッチでローカルSANの構築から始め、徐々に拡張していくことも可能だ。

 とは言うものの実際のところ、グローバルレベルはもちろん、ローカルサイトで見てもSANの導入は米国ほど進んでいない。その最大の理由は「運用コストも含めたトータルコストで見られてこなかったことにある」(石本氏)。導入コストだけで見ればDAS(直接接続ストレージ)に軍配が上がるうえ、導入に時間がかかることからSAN導入が見送られることもあるという。

 しかし、「初期導入費用だけでなく、3〜4年のスパンで見たときにSANやGEDCは非常に役に立つ」と石本氏。TCOの削減に加え、すべてのストレージリソースを1つのネットワークインフラに統合することで、セキュリティや仮想化といった付加価値サービスを加えていくことも可能になるという。

石本氏 SANのメリットは長期的な目で判断を、と述べた石本氏

 さらに、FCの世界は各社が「オープンだ」と言いながらも、実際のところつながるのはデバイスの部分だけで、ネットワークの部分やプロプライエタリな世界になっているとも指摘。「その点、マクデータにしかできないのは、ヘテロジニアスな環境に対応できること。異なる環境のものを何ら変更を加えることなく接続できる」(石本氏)。ここで重要な役割を果たすのが、SAN管理ソフトウェア「SANavigator」とiSCSI、iFCPなどにも対応したSANルータ「Eclipse SAN Router 2640」だという。

 「アジアや中国に展開している日本の企業の中には、CADや生産管理に関するデータを広域SANを通じてやり取りしたいというニーズを持ちながら、技術的に断念していた顧客も多かったのではないか。複数のベンダーの製品で構築され、孤立していたSANが、GEDCによって建物から外に出て手を結び、世界に飛躍するチャンスが生まれる」(石本氏)。製造業のほか金融、通信、小売、さらには官公庁や地方自治体など、さまざまな分野の顧客に提供していく計画だ。

 なお、米McDATAは1月、同じくストレージベンダーのCNTを買収することを発表している。「今の段階ではまだ何とも言えないが、CNTは長距離系に強い技術を持っている。うまく組み合わせることでGEDCを強化できるのではないか」と石本氏はコメントしている。

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