日本へ過去最大の戦略投資を行うネットアップInetrview(後編)(1/2 ページ)

日本を最重点市場と位置付けるNetApp。ワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデントのロブ・サーモン氏は「過去最大の投資になる」と意気込む。

» 2005年03月07日 00時00分 公開
[聞き手:堀哲也,ITmedia]

 NetAppの創業者ジェームズ・ラウ氏とワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデントのロブ・サーモン氏のインタビューの後編。

 シンプルなストレージアプライアンスという発想で、NASストレージ市場を生み出してきたNetAppだが、今後も同様の成長を続けるには、エンタープライズと呼ばれる大規模企業の基幹ストレージの座を奪っていかなければならない。サーモン氏は、昨年末ニューヨークで行われたイベント「メディアアナリストデー」で、プロダクト志向からソリューション志向への転換、パートナー戦略重視といった姿勢を明らかにした。

 そして同社は今、日本を最重点市場と位置付ける。サーモン氏は「過去最大の投資になる」と意気込む。日本市場では100%間接販売モデルをとる同社としては、パートナー戦略がその成否を握ることになりそうだ。また、同社が取り組むストレージグリッドについて聞いた。

NetAppの創業者の1人ジェームズ・ラウ氏(左)、ワールドワイドセールス担当エグゼクティブバイスプレジデントのロブ・サーモン氏(右)

日本は成長市場、最大の投資を行う

――まだまだ日本の顧客は、NetAppは安いというイメージで、データベースなど基幹のアプリケーションのストレージとして使用できるとは考えていないように思います。今後どのようなアピールを行っていくのでしょうか?

サーモン NetAppは今年35%の成長をすることができました。これを区域別で見ると、アジア太平洋地域の伸びはこれを上回る勢いで伸びています。中でも日本の伸びは高いものがあります。そこで、私たちは全社を挙げて投資の加速化を決めました。過去13年の歴史の中で、私たちが特定の地域に行う投資としては最大規模のものになります。

 その中身は、単に日本の陣容を増やすというものでなく、日本の顧客が自身を持ってNetAppを利用し、経営的、システム的成功を収めてもらうことを保証するため、すべての機能を強化します。例えば、OracleやVeritas、Microsoft、SAPといったアプリケーションパートナーだけでなく、日本でシステムインテグレーションを行ってくれる富士通、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)、丸紅ソリューション、NTTデータなどのソリューションパートナーと連携を強めていきます(編集部注:そのほか、兼松エレクトロニクス、日立製作所、UDB Linux Japanもパートナーとしており、同様に連携を強化する)。

 その中で、DisktoDiskバックアップや、ディザスタリカバリ、ストレージ統合といったセグメントごとのソリューションを、日本の状況に適したかたちで提供できるように製品・サービス展開を図りたいと考えています。もちろん同時に、市場における認知度を向上させるためのプログラムも走らせます。

――製品としてよりもソリューションとして見せていく必要性はわかります。しかし、日本は100%間接販売のモデルを採っています。つまり、パートナーのソリューションの中で、いかにNetAppを担いでもらうかが重要になるのではないでしょうか?

サーモン 私たちが大きな成功を収めてきた背景には、実は的確な戦略を的確に実行してきたことが挙げられます。過去における日本の投資が成功しているからこそ、それを加速するために投資を決めたわけです。その基本にあるのは、パートナーが成功してもらうために、投資を行うということです。

 つまり、単にパートナーをプッシュして「売りなさい」ということではなく、私たちとパートナーが1つチームとして最高のソリューションを提供する。そのために、私たちができることは、投資をして最高のソリューションを提供できるようにしていくことです。

 大手の企業がストレージベンダーに感じている懸念事項は、多くの場合、製品戦略や経営戦略がころころ変わってしまわないか、というものです。顧客はこういう変遷を好みません。NetAppは、製品・経営・販売戦略のすべてで一貫して方向性を保ってきました。ここを大きく評価していただけていると自負しています。競合他社のようにこれが頻繁に変わってしまえば、市場から受け入れなくなってしまうでしょう。

顧客が求めるストレージグリッドのメリット

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