手元に届いた「イマドキの日本語スパムメール」撃退編不定期集中企画(2/3 ページ)

» 2005年03月28日 12時27分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

苦情は適切かつ丁寧に

 では、このISPのスパム対策ポリシーはどのようになっているのだろうか? さっそくWebサイトをチェックしてみた。会員向けページには以下のような記載があった。

スパム対策ポリシー スパム対策ポリシーには「送信元IPの管理者に対処してもらえ」となっている

 ユーザー向けにこのように言っているのだから、外部からの問い合わせにも、当然、応じてもらえると信じたい(なお、ユーザーにあまり読ませたくないのかどうかは知らないが、会員規約を分かりやすいところに掲載しているISPが少ないのも問題だと思っている)。この場合、苦情のひな型は以下のようになるだろう。

 本日、添付ファイル(ヘッダー込みでZIP圧縮してあります)の広告メールを多数受信いたしました。ヘッダー情報から送信元IPは御社管理下にあることが判明しております。

 御社の顧客に対する契約に関しては知る由もありませんが、特定電子メール送信に関する法律に違反するものであり、違法行為を放置する会社ではないと信じております。

 なお、該当アドレスを御社も使用しているスパムデータベースにて確認したところ、spamcopにて該当していることを確認いたしました。私以外の第三者もスパムに悩んでいるようです。御社も大量の迷惑メールによるサービス遅延を引き起こし困っていると思いますが、その迷惑メールを送信する顧客がいる事は他のユーザーに迷惑をかけていることになります。確固たる対処を強くお願いいたします。


 最後のパラグラフはやや余計かもしれないが、この某ISPが「他からのスパム受信を避けるために各種のスパムデータベースを参照している」と記していたので付記してみた。

 この苦情メールにも記したとおり、spamcopというスパムデータベースで判定すると、Received:から抽出したアドレス「165.xx.xx.54」は、「165.xx.xx.54 listed in bl.spamcop.net(127.0.0.2)」という具合にスパム送信元として「クロ判定」となっている(今回苦情を送ったISPの「スパムデータベース」についての説明を引用すると「これらの組織では、スパムメール等の迷惑メールを送信した前歴のあるグローバルIPアドレスのリストを保持」している、とある)。

 ただ、これらのデータベースは100%信用できるものではないことにも注意が必要だ。多くのメールを受信する必要がある通常のISPでは、場合によってはメール不達の原因にもなる。

 ただ、このISPでは、メール受信時にスパムデータベースを用いてフィルタをかけている旨が書かれていた。スパムデータベースを利用しているISPの管理下にあるIPアドレスが、当のデータベースに登録されているというのも皮肉なものだが……。

 さて、こうして苦情を送ってみたところISPからの返答が届いたが、「添付ファイルは受け付けない」のだそうだ。このあたりの苦情に対するフォーマットも、どこかに明記してくれないことには、ユーザーには分からない。

 ただ、その返答によれば、同一の苦情が多数届いているとのこと。その後のやり取りで「先日弊社にて対応させていただいておりますユーザーが該当しているものと思われます」という返答が返ってきた。スパマーもこれであきらめてくれればいいのだが、きっと別のISPに行て同じことを繰り返すのだろうなぁ……。

 とはいえ、このようにISPにきちっと苦情を寄せるのが、今のところ実効のある対処策と言えるだろう。

 ここでISP各社にお願いである。スパムに対する取り組みを、Web上に分かりやすく載せてくれないだろうか? 顧客向けのスパム対策の説明ならばそこそこ見かけるが、そのISPから届いたスパムメールについての「苦情申し立て先」をキチンと明記し、可能ならば通報フォーマットも載せてほしい(もちろんプライバシーポリシーも)。

 一時的にはISP側の事務処理が増えるだろうが、クレームの多さ≒ISPに対する迷惑行為としてスパマーの契約解除の理由となるだろうし、ゆくゆくは「あそこはきちんとスパマーに対処するしっかりしたISPだ」という評判につながるはずだ。

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