「独立系ソフトウェアベンダー」を強力に支援するIBMの意図(3/5 ページ)

» 2005年04月01日 06時50分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 かつての日本IBMは、ISVとパートナーを組む際に、「販路を持つ企業にパートナーになってもらおうとしていた」(同氏)という。だが現在、この発想を転換し、「エンドユーザーの問題を解決する能力を持つベンダーにパートナーになってもらい、IBMが持つ販路(チャネル)を使ってもらう戦略に切り替えた」としている。

 ソリューションはあるが販路がないといったベンダーには、IBMやほかのパートナーとの協力体制を敷き、販路を斡旋するといったことも行う。この背景には、IBMがさまざまな業種に販路やサービス基盤を持つという意味で間口が広いため、どのような形でもパートナーを支援できるという自信があるという。巨大IT企業である自社の強みを生かして、優れた能力を持つISVをパートナーとして味方に迎え入れていく作戦を「自画自賛している」と三浦氏は笑う。

「ISVエコシステムをつくりたい」と話す三浦氏。

 同社は、ISVを含め、システムインテグレーター、OEMなど、IBMのミドルウェア製品を間接的に販売するチャネルの8割を把握し、サポートしていきたいとしている。

 だが、同氏も、企業のコア業務までもがパッケージアプリケーションですべて置き換えられるとは考えていない。たとえば、自動車メーカーのコア業務のほとんどは、各社が独自にアプリケーションを開発しており、日々それを磨き上げている。他社への差別化の源泉となるアプリケーションを既製品で置き換えることは必ずしも可能ではないという判断だ。一方で、経理や人事など、企業のコア業務ではなく、複数の企業に共通する水平的な業務については、「パッケージを利用して徹底的な合理化を図るべき」(同氏)という。

SOAによるアプリケーションの部品化

 一方で、同氏は、「カスタムアプリケーションの世界でも、今後は従来のような人海戦術による開発、運用をやるわけにはいかない」と指摘。変化への対応力がなくなる、システムが複雑化してしまう、さらに、開発・運用コストがかさむといった課題をはらむ従来のカスタムアプリケーションのあり方が、ここにきて変化しようとしている。解決へのキーワードになるのがサービス指向アーキテクチャ(SOA)だ。

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