産総研とNTTネオメイト、グリッド技術活用した個人情報保護システムを開発

産総研とNTTネオメイトは、個人情報を細かく分割し、グリッド技術を用いて複数のデータセンターに分散保管することで漏えいを防ぐ「個人情報保護・管理システム」を開発した。

» 2005年04月25日 17時11分 公開
[ITmedia]

 産業技術総合研究所(産総研)とNTTネオメイトは4月25日、個人情報を細かく分割し、グリッド技術を用いて複数のデータセンターに分散保管することでデータの漏えいや喪失を防ぐ「個人情報保護・管理システム」を開発したことを発表した。

 このシステムは、2004年4月から行われてきた「グリッド技術を活用した情報セキュリティ強化の共同研究」の成果として開発されたもの。産総研が開発した大規模データの分散ファイルシステム「Gfarm」を、一般的なビジネス分野に適用したものだ。

 同システムの特徴は、格納される個人情報を文字単位で細かく切り離し、かき混ぜ(=シャッフルし)たうえで暗号化し、Gfarmのグリッド技術を用いて複数のデータセンターに分散保管している点だ。復元に必要な情報は、別のメタサーバに暗号化された形で保存される。このため、悪意ある人物がデータセンターのファイルサーバ内の情報を持ち出したとしても、復元は困難という。

 逆に、各データセンターのファイルサーバどうしがデータを二重に持ち合い、分散保管すれば、災害や事故などでどこか1カ所のデータが失われたとしても、他のデータセンターのファイルサーバを用いて復元が可能だ。

 元データを複数に分割し、情報漏えいから守る「秘密分散法」は、最近いくつかのサービスに採用され始めている。今回発表された個人情報保護・管理システムは、情報を個人情報とはいえないレベルまでに細分化し、グリッド技術を用いて分散保管し、さらにその保管場所情報を別のサーバで暗号化して管理するという組み合わせに特徴があるという。

 NTTネオメイトでは今回の成果を踏まえ、同社が提供するコールセンターサービス「AQStage PF IPコールセンターサービス」にこのシステムを導入するほか、他の個人情報を扱うアプリケーションサービスにも活用していく方針。また、引き続きグリッド技術を活用した開発成果を適用、展開するための共同研究に取り組んでいくという。

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