ヤナセ、Windows NTからLinuxとオープンソースによる認証環境へ移行

[ITmedia]

　CRCソリューションズとミラクル・リナックスは5月31日、輸入車ディーラーであるヤナセにワンストップのフルアウトソーシングサービスを提供したと発表した。

　約4000ユーザーのメール環境、約6000ユーザーのWindowsドメイン認証環境、およびインターネットアクセス環境を構築し、現状のユーザーに負担を強いることなく、Windowsドメイン認証環境をWindowsNT4.0からMIRACLE LINUX搭載（LDAP + Samba）のLinux環境へとスムーズに移行させたとしている。

　これにより、ヤナセのWindowsドメイン認証とメール認証の一元管理が可能になり、認証データの更新においてメンテナンスフリーを実現した。さらに、CRCのマネージドサービスの導入により、運用負荷を軽減、運用コストを抑制したとしている。

　今回、CRCはシステム全体の設計、構築をはじめ、運用サービスなどフルアウトソーシングサービスをヤナセに提供した。一方、認証サーバ（LDAP＋Samba）の構築はミラクル・リナックスが担当。Linuxの大規模認証サーバの構築や独立行政法人である情報処理推進機構（IPA）の実施する「オープンソフトウェア活用基盤整備事業」の「Samba3.0国際化対応プロジェクト」の成果、および、WindowsからLinuxへの移行における豊富な実績を生かしたとしている。

　ヤナセは、企業としての基礎体力向上を目指し、2004年よりさまざまな情報プラットフォームの整備を行ってきた。その一環として、CRCデータセンターへのシステムの移行を2005年1月に完了、Windowsドメイン認証対象者を既存の3000名から全従業員6000名へと倍増させることを計画している。

　また、同時期に既存情報システムのWindowsNT4.0サーバがサポート終了となり、アップグレードによるライセンスコストの負担の回避とウイルスに対する耐性などから、Linuxによるシステム構築を検討することになった。

　検討の結果、運用後の管理負荷の削減までを視野に入れ、CRCのアウトソーシングサービスの利用を決めた。また、システムの移行と同時に、LDAP＋SambaによってWindowsログオン認証、メールサーバへのログイン認証を一元化することを決定した。

　また、認証サーバのOSに「MIRACLE LINUX V3.0 - Asianux Inside」を選定した理由としては、Sambaとの親和性や日本語対応などといったOSとしての優位性を挙げる。

　また、既存システムのWindows NT4.0サーバからデータを移行する必要があったこと、さらに、Windowsドメイン認証対象者約6000名、メールアカウント認証対象者約4000名という大規模システムであったため、ミラクル・リナックスのWindowsからの移行に関する実績やノウハウを評価したとしている。

　また、ヤナセはコストを抑え、運用負荷の軽減を図るため、メールサーバなどのインフラ環境を自社で持たずにCRCのサービスを利用し、CRCのマネージドファイアウォールサービス、マネージドホスティングサービス、運用監視サービス、インターネット接続などのISPサービス、データセンターファシリティなどをフルアウトソーシングしている。

　これによりヤナセは、CRCのサービスを利用することによって、情報システム技術・運用といった側面から解放され、経営資源のさらなる集中が可能となった。

　一方、導入の効果としては、CRCのアウトソーシングサービスを利用することにより、自社で資産を持たず、運用の負担も少なくなり、ランニングコストを抑える事ができている。

　移行の結果、インターネットアクセスのレスポンスが大幅に改善、Windowsドメイン認証サーバのOS変更に関して、移行後に利用者のPC環境を変更する必要もなく、「既存ユーザーもほとんど気がつかないほど」スムーズに移行を完了した。

　また、ライセンス費の削減による初期費用の大幅削減で、初期費用を抑えつつシステムの利用者を増やすことができ、運用についても認証の一元化による管理負荷の削減に加えて、認証サーバと従業員データベースとの自動連携の仕組みを構築し、認証データの更新はメンテナンスフリーの形で実現した。

　結果として、構築から運用までに「トータルコストで約3000万円弱の削減」という大きな効果を得ることができたという。