ある「色」を1つ選び、その色で表現されているものを積極的にチェックする方法である。われわれは、どうしても自分の興味のあることしか見ないし、既に知っていることしか理解しようとしない習性がある。毎日同じように暮らしていては、視野が狭くなり、発想も貧困になる。
そこで、普段目に入らないもの(実際は目に入っているが、見ていないもの)を、意識的に見ようとする試みだ。たとえば、「今日の通勤テーマは赤」と決めて電車に乗ってみる。
毎日乗る電車の中にも、驚くような発見があるはずだ。読んだことのない雑誌の宣伝、気にしたことのない注意書き、意外なところにも貼られている広告……。こうした発見により、ワーキング・ボキャブラリーがどんどん増えていくのだ。
また、カラーチェックには、それ以外にもいろんな楽しみがある。先週、私は「緑」をテーマに事務所の近くを歩いていたら、路地裏にイタリアンレストランを見つけた。
きちんと理解しているつもりのことでも、いざ文章にしてみると書けないことは多い。きちんと表現できないことは、理解していないことと同義である。
身の回りで起こったことを、きちんと文章で整理しておくことは、考えを明確化するのに役立つ。いちど文章で表現することに成功すれば、その考えは、別の機会に再利用することができる。媒体は、日記帳でも、PC上の文書作成ソフトでも何でも構わないのだが、何と言ってもblogは作成や管理が楽なのが一番だ。
ちなみに、私は今年の1月から半年に渡って毎日書いている。(関連リンク)
生まれてから日記など一度も書いたことがなかったが、今のところまだ続いている。始めて1週間くらいは30分くらい掛けていたが、最近は長くても10分。普段は3-5分程度だ。最近では、blogを書くために、日々ネタを探すようになっている。これがまた、ワーキング・ボキャブラリーの増加に大きく寄与していると感じる。
以上、2回にわたって、論理的思考法と発想法について述べた。最後に、これら2つの技術について、簡単に整理しておきたい。論理思考の本質は、目の前の事象や頭の中にある情報を、整理・体系化し、相手にわかりやすく伝えることにある。言い換えれば、既に「できあがったモノ」を説明する力である。そこには、新しいものを発想する観点はない。
「モノ」自身を作るのは発想法である。一見、センスや才能次第の領域のようだが、実は技術である。着眼点のツールと、ワーキング・ボキャブラリーを増やすことで、どんどん発想は豊かになる。どんな奇抜な発想も自由だ。論理的に説明できさえすればよいのである。
次回は、アイデアを作り、論理的に説明し、周りを動かすための「会議術」について考えてみたい。
山崎 将志
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