最適なサービスの活用:BPM『SOA―サービス指向アーキテクチャ』から転載(1/2 ページ)

この記事は翔泳社発刊の書籍『SOA―サービス指向アーキテクチャ』の一部を許可を得て転載しています。

» 2005年06月26日 01時30分 公開
[翔泳社]

翔泳社発刊の書籍『SOA―サービス指向アーキテクチャ』から転載

1.1.4 最適なサービスの活用:BPM

 SOAのサービスを活用する技術としてBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)が想定されることが多い。BPMとは、ビジネスプロセスの現状または将来像をモデル化して情報システムに適用し、継続的に運用管理・性能分析などを行ってプロセスを改善、最適なビジネスプロセスを

見出すといった、一連の開発ライフサイクルを運用・管理する仕組みである。

 また、BPMツールとは、BPMを実現するビジネスプロセスをデザインするビジュアルなドローイングツール、ワークフローエンジンとシステム連携を実現するEAI機能、ビジネスプロセスを運用管理・分析する環境などを統合化したツール製品である。

 前出の図1.1の左側は、これまでに説明してきたSOAにおけるサービス(サービスプロバイダ)の構築を示している。個々のサービスは、独立したインタフェースであるWSDLファイルにその機能の呼び出し方法と通信方法が記述されている。

 一方、図1.1 の右側を見るとわかるように、ビジネスプロセスはBPEL4WS(Business Process Execution Language for web Service)などのフロー記述言語で記述され、フローの中のアクティビティでWSDLファイルの記述に基づいたサービスの呼び出しを行う。サービスからのWSDLファイルの生成、ビジネスプロセスの定義とサービスの組み込み時に発生するWSDLファイルの内容の読み込みとBPEL4WSを用いたプロセス記述などは、通常BPMツールに組み込まれたドローイングツールや連携するビジュアル開発ツールが自動的に処理される。

 当然ながら、ビジネスプロセスから複雑な処理が要求されることはSOAにおいても同様である。長時間に及ぶトランザクション処理や非同期メッセージ通信とそれらのエラー発生時に必要となる補償トランザクションなど、また複数のサービスで連携すべきセキュリティレベルも重要である。これら分散システムの先進技術もWebサービスでの標準化が進んでいる。SOAはこれら最新技術も順次取り込んでいくことになる。

 こうした開発ツールの活用によって、BPMによるSOAの応用は現実的なものとなり、現在、世界中の先進企業がその導入を進めている。BPMは現時点におけるSOA活用の標準的な技術であると言えるだろう。

 SOAを実現するうえで利用するさまざまな技術については第2章「SOAを支える技術」で紹介する。また、BPMについては「2.3.1 BPM」でその概念などを詳しく述べる。

1.1.5 サービスの種類

 SOA導入において、どのようなサービスを構築すべきかを考える際に、属性によって分類された種別を理解しておくと効率的にサービス化を行うことができる。属性は大きく分けて6種類あり、ビジネスロジックをベースとするサービスと特殊な機能を持つサービスに大別される。以下にサービスの種類を一

覧で示す。

サービスの種類

 それぞれのサービスの特徴を簡単に紹介する。

Application & Data Accessサービス

 いわゆるラッパーサービスである。各種データベースへのアクセスを実現にするWebサービス、既存システムやパッケージアプリケーションの機能を呼び出すWebサービスなどがこれにあたる。実現方法としては、J2EEベースのアプリケーションサーバなどを用い、データベースの場合はJDBCドライバ、アプリケーションへの接続の場合はJCAアダプタを使って接続し、Webサービス化する。比較的実現が容易なサービスである。

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