サンはOpenOffice.orgコミュニティーをどう見ているのか？：Interview（1/5 ページ）

意外と語られることのなかったサンとOpenOffice.orgコミュニティーの関係。サンは、OpenOffice.orgを基としてStarSuiteを出荷しているが、勢力はどのように作用しているのか？　コミュニティー側との対談模様をお送りする。

[聞き手：可知 豊、木田佳克，ITmedia]

　7月から開始のエンタープライズ特集「OpenOffice.org 2.0が変えるオフィスアプリ基準」のオープニングとして、サン・マイクロシステムズへのインタビューを行った。

　OpenOffice.org 2.0とStarSuite 8のリリースを控え、サン・マイクロシステムズでStarSuiteプロダクトを担うプロダクトマーケティング本部主任の高松新吾氏、東京ソフトウェア本部でソフトウェア国際化開発部・技術シニアアドバイザリーの石村直之氏に登場いただいた。聞き手は、OpenOffice.org日本ユーザー会の可知 豊氏。

　意外と語られることの無かったStarSuiteとOpenOffice.orgの関係について。サンとコミュニティーの関わりはどのようになっているのか？　それぞれの代表者が対談をした。また、記事最後には、可知 豊氏によるコミュニティー側からの見解を載せている。

StarSuiteのユーザー像は

可知　サンは、StarSuiteをどのようなユーザーに向けて販売しているのでしょうか？

高松　われわれがStarSuiteを使ってほしいと考えているユーザーは、主にビジネスユーザーです。サンのコンセプトとして、「コンピュータは相互にネットワークでつながれているべきである」というものがあります。サーバOSとデスクトップOSがシームレスにつながらない状況は問題があるとの見解で、それを解決するためのシステムや手段を主に企業ユーザーに提供しています。

プロダクトマーケティング本部主任の高松新吾氏

　そのような背景でサンは、デスクトップ側の環境も用意する必要があります。通常、企業のデスクトップユーザーであれば、Eメールを読み書きしたり、Webページを見たり、オフィススィートを使ったりといった作業がほぼ80％を占めているといいます。マルチプラットフォームを考えると、Microsoft Officeだけでは不十分です。たとえば、LinuxやSolarisの上でMicrosoft Officeは（ネイティブに）動きません。この点がデスクトップマーケットへコミットするひとつの要因です。そのために、サンがオフィススィートを持つことはとても重要です。そのような意味合いもあり、StarSuiteを企業ユーザーに向けてしっかりと提供したいと考えています。

　一方で、コンシューマーユーザーにとっては、おおよそデスクトップはWindowsですよね。Microsoftさんはオフィススィートを提供していて、ユーザーにとってもそれで足りているんだと思いますが「価格はどうですか、結構コストがかかっていますよね」という話をエンドユーザーに対して、きちんと提案していきたいと考えています。

　マーケットの面で言えば、1つの企業が突出していくことは良くないことなので、我々がその存在感のあるライバルになりたいと考えています。

可知　これまでのStarSuiteは、どの程度の販売数なのでしょうか。

高松　直接の数をここで公表することはできないのですが……、StarSuite 7を出荷して2年ほどになります。最初の1年ほどは、ソースネクストによるマーケティングの力で大きな伸びを示しました。月単位ですが、Microsoft Officeの売り上げを10％下げたほどです。これは、ソースネクストの1,980円戦略にうまく乗れたことが大きいと思います。オラクルも高機能な開発ツール（JDeveloper）をやはり1,980円で出荷していますが、いきなりマイクロソフトの開発ツール製品売り上げを月単位で抜きましたから。あの価格戦略は、非常に日本のマーケットに合っているのだと思います。

　一方最近を見れば、ニュースでOpenOffice.org 2.0の話題が出ているため、StarSuiteの次期バージョンも好調な伸びを示すだろうと予想しています。しかし、今の段階では買い控えが出てきている傾向も見えています。この影響からか、以前よりは出荷が少し減っている傾向にあります。

　その分、企業ユーザーで本格的に評価していたところで、100や1000という単位で購入する企業が増えています。また、StarSuite単体ではなく、デスクトップ環境として大口で採用するというケースも増えています。

可知　予想していなかった反響はありますか。