連載の最終回。成功するSEの姿はどんなものか、もう一度整理してみたい。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)
杉山正二(アールエスコンポーネンツ 取締役)
SEとして必要な知識やスキルは非常に広範にわたり、すべてを身につけることはほぼ不可能である。つまり、できる限り本質的な知識やスキルをベースに、あとはそれを応用して仕事をしていかなければならない。ほとんどの場合は、仕事をしていく中で考え、理解し、知識・スキルを高め、決断していくことになる。個別具体的な知識・スキルを身に付けることも重要であるが、物事のとらえ方、仕事の仕方、などより本質的で普遍的なことを理解しておかなければならない。
いよいよこの連載も最終回になった。これまで、優秀なSEに必要となる、知識やスキルについて、さまざまな視点から説明してきた。最終回に当たって、私が皆さんに理解してほしいと考えた、仕事をする上で最も重要、かつ、より本質的な点をもう一度を整理し、この連載のまとめとしたい。
仕事をする上で、迷ったり、わからなくなったりしたとき、あるいは少ない情報で判断せざるを得なくなったりしたとき、まず原点に返ることである。その原点とは、Whyであり、Objectiveである。つまり、なぜこの仕事をしているのか、なぜこのアプリケーションが必要なのか、といった問いかけであり、また、それを具体化した目的(売上を伸ばすため、とか顧客を獲得するためとか)である。
だれもが正解を求めるし、方程式を解くように詳細に検討していけば解が得られると考えている人も多い。しかし残念ながら、ビジネスの世界(われわれが生きている世界と言い換えてもいいだろう)に唯一絶対の解はない。
どんなに優秀な経営者/管理職であれ、アーキテクトであれ、意思決定やデザインがすべて成功であり、間違いがないと言える人はいないだろう。あのファーストリテイリング会長の柳井氏にしても、「ユニクロは失敗ばかりだった」と著書の中で述べられている。重要なことは、致命傷となるような大失敗をしないことであり、間違ったとわかったら直ぐに改める(朝令暮改)ことである。
唯一絶対の解がない以上、どこかで決断しなければならない。できる限り情報を集め、時には他の人の意見も聴いて、十分に検討すればよい。ただし、最後は自分で決断すること。そして、自分で決断したことに責任をもつことである。「上司がいいといったのに……」などと言い訳をする人がいるが、最後は自分で判断し、決断したはずである。自分の決断を他人のせいにしているようでは、成長はない。
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