「ITIL」という言葉が知られるようになった。システムの運用管理を見直すには格好のフレームワークといえる。ITILの内容を見ていく前に、まずはITILの持つ意義を知っておく必要がある。
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の言葉が知られるようになってちょうど2年ほどになる。ITILを検索エンジンのGoogleで検索すると、2002年では50件程度の情報しかなかったが、2005年現在では9万5000件とうなぎ昇りにその情報は増えた。
簡単にITILを説明すると、現在世界でもっとも多くの行政・企業などで活用されているITサービスを行うためのベストプラクティス集といえる(構成や内容については次回以降に詳しく説明する)。1980年代後半に英国政府の手で作成され、その後改定を繰り返し、欧米中心にITサービスのためのフレームワークとして広く活用されている。「サービスデリバリ」と「サービスサポート」の大きく2つに分けており、下図のような11のフレームで構成されている。
英国では既にBS15000規格として組織の認証が行われている。ISO化についても現在検討が進んでおり、来年にはISO20000として世の中に出てくる予定である(詳しくはitSMFジャパンのサイト)。
ITILという言葉や内容を知っている人間は、つい最近までITに関わる者の中でも少数にすぎないのが実情であった。日本のIT事業者やユーザーの最大の欠落点は、技術の変化に追いつくことがあたかも進化のように感じていた一方で、ITの取得をライフサイクルの視点で捉えて、適正化に向けて何をすべきかという点に興味や行動を示してこなかったことである。そのため、ITの適正化のための標準化や仕組みを作ろうとしてこなかった傾向がある。
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