オープンソースはIT産業にMassive Changeをもたらすか?

オープンソースのアーキテクチャはデザインという概念を導入したことで、その価値を最大化する――Red Hatのマイケル・ティーマン氏はこう話し、オープンソースによるMassive Changeが起こると話す。

» 2005年07月06日 01時31分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 Red Hatオープンソース・ソフトウェア担当副社長でOpen Source Initiative(OSI)の会長も務めるマイケル・ティーマン(Michael Tiemann)氏は7月5日、レッドハット社内で開催された記者会見でオープンソースの定義について語った。

マイケル氏 「オープンソースの定義自体も進化するもの」とマイケル氏

 カナダのデザイナーであるブルース・マウが社会を構成する目に見えないシステムや関係性を可視化しようとした壮大なプロジェクト「Massive Change」は書籍化されている。そこでは、デザインの世界についてではなく、世界のデザインについて言及されているのだが、その書を手にデザインの重要性を説くマイケル氏。

 同氏は、「デザインの悪いソフトウェアとは意図的にほかを邪魔するようなソフトウェアであり、それによってソフトウェアそのものではなくそれを利用するユーザーにまで危害を及ぼすもの」と説明し、それらに費やされてきたコストの多さを語る。その上で、オープンソースのデザインの元となっている“オープンソースの定義”こそが良いデザインとして機能するものであり、それ故にオープンソースが巨大な変化(Massive Change)をIT産業にもたらすものであると話す。

 オープンソース・ソフトウェア開発プロセス、同氏が言うところの「ユーザー駆動型のイノベーション」を生み出すプロセスは、エリック・レイモンド氏が「伽藍とバザール」の中で述べた「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」ということを前提としたものだと言える。

 しかし現実には、Apacheやsambaのように多くの人の目が向けられるプロジェクトがある一方、あまり目も向けられず、バグも放置されているようなプロジェクトも存在している。

 この指摘に対し同氏は、Linux Conference 2005でLinux Conference Awardを受賞した「リクルーティングソース」という論文に答えがあるのではないかと話す。同論文はレッドハットの大和正武氏によって書かれたもので、オープンソースにおける「ソースコードの公開」という手法を一歩推し進め、「開発者の勧誘」という手法でもって前述の問題を解決しようとするものだ。詳しい内容はこちら(PDF)で確認できる。

 また同氏はかつて、オープンソースに対するSunのコミットの姿勢に関し、ブログ上でSun Microsystemsのジョナサン・シュワルツ氏と舌戦を繰り広げている。CDDLやOpensolarisといった存在をどのように感じているかについて、「Red Hatが考える『いいライセンス』というのは、自由を提供するもの。Sunがどのようなスポンサーになっていくのかは分からないが、そもそも企業が入り込もうとすることは不可能なものだ。何をもって成功とするかは考えるべきだろう」と答えた。

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