サービスレベルを高める「発想の転換」ITILを深める! サービスデリバリ編(2/4 ページ)

» 2005年07月13日 08時07分 公開
[インフォリスクマネージ,ITmedia]

 サービスデリバリを記載したITILの赤本には、このプロセスを通じてITサービスの品質を維持・向上させ、顧客と良好な関係を構築していくことと明記されている。現在は、ユーザーがベンダーに課す義務や罰則のためのSLAが先行しているため、ベンダーが積極的に導入したがらない印象があるが、SLMを導入は、まじめにサービスを提供しているベンダーにとっても非常に有意義なもので、むしろ競合との優位性を表現するために、積極的に導入していくべきである。

「システム」でなく「サービス」として捉えるSLMの視点

 SLMの導入にあたって重要なのは、ITサービスの全体像を「システム」ではなく「サービス」として捉える点である。ITILでは、1つの定義としてサービスとは「ビジネス・プロセスを可能にする、1つまたは複数のITシステム」と規定している。システムとサービスという言葉は混同されることが多いのだが、SLMでは顧客の視点で捉えて考えるのが特徴である。

 サービス提供サイドは、1つサービスをモジュール単位に細かく分解して、管理するべき項目や目標を設定していく。しかし、実際に顧客に見えているのは「サービス」のみであることに注意したい。例えば、ネットワークやサーバといった「システム」単位のサービスレベル(例えば可用性)を示していても、それは実際には顧客に見えない。だが、モジュール単位に分割された「システム」は、「サービス」提供していく上で必要不可欠な要素となるので、顧客に見えなくても、サービスごとに階層化し整理していくアプローチが有効である。

管理すべき項目

 ITILによれば、提供されるすべてのITサービスにSLAが定義されるべきであるとしている。MSPのサービスのSLAを例にして考えてみよう。顧客のシステム全体をエンドユーザーに提供するITサービスとして捉えるなら、このSLAはベンダーから提供されるUC(請負契約)もしくは、オペレーショナルレベルアグリーメント(OLA)の1つに過ぎない。それでは、すべてのITサービスにSLAを適用されることをゴールとした場合、SLMとして管理されるべき項目はどんなものがあるのだろうか。ITILによる代表的な項目は次ページの通りになる。

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