SLAという言葉に馴染み深い読者は多いのではないだろうか? これに対してSLMという管理手法がある。ITサービスの品質向上の観点からは、SLMの方がより実用的だ(攻めのシステム運用管理)。
サービスレベルアグリーメント(SLA)という言葉に馴染み深い読者は多いのではないだろうか? ITサービス提供において顧客とベンダー間で合意するコミットラインとなるSLAだが、実際には、大手システムインテグレーターやアウトソーサーがITサービスを提供する際に契約に盛り込むペナルティ項目/条件として適用されているケースが多い。
例えば、運用管理サービスを提供するマネジメントサービスプロバイダー(MSP)を利用するのであれば、障害を検知してから平均30分以内に事前に指定された連絡先へ、決められた手段で通知することなどがSLAとして挙げられる。
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※財団法人電子情報技術産業協会著作の『民間向けITシステムのSLAガイドライン』から抜粋
この場合、平均時間が毎月または四半期平均で30分を上回れば、あらかじめ取り決めたペナルティをユーザー側に支払う(実際には提供するサービス料金との相殺となる)という合意となる。
これに対して、SLMはそれらを担保するための管理の仕組みといえる。ユーザー側から見れば契約上合意された項目/条件が提供ベンダーにおいて、どのように管理されているか、そのプロセスが担保されている必要があるのである。ITサービスの品質の向上という本来の観点からすると、SLAよりも「サービスレベル管理」(SLM)という概念の方がより実用的なものとして機能する。仮に、契約上実際にはペナルティには至っていなかったとしても、設定した目標数値に従ってお互いが目標管理を行っていくことで、ITサービスのパフォーマンスを定量的に評価する指標にするのである。
ここで確認したいのは、SLMの最終目標はあくまで定量的な目標を管理していくプロセスだということである。
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