教師の80%がOSSに満足、生徒も順応――IPAの学校実証実験

IPAの「学校教育現場におけるOSS活用に向けての実証実験」で、教師の約80%が学校のIT活用授業に十分耐えると満足評価を下した。

» 2005年07月19日 23時12分 公開
[ITmedia]

 情報処理推進機構(IPA)は7月19日、「学校教育現場におけるオープンソースソフトウェア(OSS)活用に向けての実証実験」の成果を発表した。

 コントロールのしやすい教育現場でOSS活用の事例を作り、OSS利用に二の足を踏むユーザーへの指針を得るのが今回の目的。主にLinux専用デスクトップPCを活用した実証実験と、CD-ROMから起動できるKNOPPIXを活用した2つの実証実験を実施。それぞれ9校3089名、8校673名が参加した。

 IPAによると、生徒は問題なくOSSデスクトップに順応できた。アンケートでは約80%の児童が「Linux PCを使えるようになった」と回答し、1時間程度の講習で操作を習熟できるという結果が出た。教師の約80%も、総合評価で学校のIT活用授業に十分耐えると満足評価を下した。

 今回の実証事件では、障壁として考えられた教師のシステム管理やメンテナンス負荷を開発した「クラスルームPC管理ソフトウェア」を運用して軽減。リモートからの保守も有効であることが分かった。この実証実験を契機に、岐阜大学付属小学校ではPC教室の端末すべてをLinuxへ移行したという。

 KNOPPIXを活用した実証実験では、生徒の78%が「今後もKNOPPIXを使いたい」と評価している。一方で、商業高校の学生は、就職を考えると企業に普及している商用製品を習得したいとして「使いたくない」とする意見が目立った。

 教師からは、家庭のPC環境との共存ができる点、カスタマイズされたKNOPPIXは使用する機能のみシンプルで、生徒が余計な戸惑いがいらない点――などが評価された。起動時間が遅い点がマイナス評価となったが、今後高速化を行って改善する。

 今回の詳しい成果はIPAの「学校実証実験成果公開サイト」で公開している。

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