Vistaに海賊対策にStarter――MSの忙しい1週間を追う(1/2 ページ)

Windows Vistaの名称を発表し、β1をリリースし、海賊対策プログラムを正式稼働し、アナリストミーティングで今後の展望を話すなど、Microsoftにとっては非常にめまぐるしい7日間だった。

» 2005年08月01日 18時15分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 この7日間はMicrosoftにとって忙しい1週間だった。7月22日からの1週間で、同社はLonghornの新しい名称を発表し、同OSのβ1を披露し(だが出荷はできなかった)、Windows Genuine Advantage(WGA)プログラムを義務化し、金融アナリストミーティングを開いた。では、実際のところはどんなふうだったのだろうか?

 Longhornの正式名称「Windows Vista」はいい名前だ。その理由は、わたしが考えついたほかの名前はどれもVistaよりいまいちだという一点に尽きる。メアリー・ジョー・フォリーはWindows HDという名前を提案していた。わたしはVistaよりこちらの方が好きだ。しかしHDはあまりに露骨なため、Microsoftは何らかの理由をつけて拒否したに違いない。

 Microsoftは強さやセキュリティを示すような名前も拒否し、新OSに組み込まれたデータアクセスやユーザーインタフェースの改善を反映する名前を選択した。

 ビル・ゲイツ氏がセキュリティは依然としてMicrosoftの最優先事項だと金融アナリストに語ったことから、新OSの名称はそれを反映したものになるかもしれないとわたしは予測していたのだが。そこで思ったのは、MicrosoftはWindows Vistaに組み込んだ変更が実際にセキュリティの展望を変えると確信していないのではないかということだ。あるいは、単に蜂の巣をつつくようなまねを避けたかったのかもしれない。ハッカーたちはきっと同社の(セキュリティの)主張を笑いものにしようとするだろうから。もちろんハッカーたちは、Microsoftがどんな名前を選んでもそうしようとするだろうが。

 命名はどうしてもうまくいかないことが多いが、少なくともVistaという名前を選んだことで、Microsoftは1つ達成したことがある――「Windows XPは本物のインスピレーションだった」とわたしに思わせたことだ。

ハッカーへの真のチャレンジ?

 Microsoftの何もかもに対して挑戦を仕掛けるハッカーについて言えば、彼らがWGAライセンス確認プログラムを欺くことに成功したと主張するまでにさして時間はかからなかった(関連記事参照)

 先週Windows Updateにアクセスした人は、WGAに出くわしたことだろう。これはWindows XPの海賊版ユーザーに警告し、彼らにUpdateサイトからセキュリティフィックス以外のものをダウンロードさせないようにすることを目的としている。

 わたしが1月に初めてテスト中のWGAプログラムに遭遇したとき、こいつはわたしの大手ブランドのPCが気に入らなかったらしく、わたしは正規版のXPを持っていることを証明するために、机に上って、コンピュータの角にはってあるホログラムラベルに印刷されたMicrosoftのシリアル番号を確認するはめになった。皆さんのご想像の通り、わたしはこの体験にちょっとむっとした。

 喜ばしいことに、Microsoftからもう腹ばいになるよう要求されることもなく、WGAプログラムの確認プロセスがこれまでのところオフィスの3台のPCで問題なく走っていることを報告する。

 ハッカーに関しては、Microsoftは最初のバージョンのWGAが欺かれてもそれほど気にしないだろう。同社が探しているのはプロの海賊版業者ではなく、業者の顧客だ。これらの顧客はハードやOSを別々に買い、自分は合法的なOSを持っていると信じている。

 あるいは、彼らは「いい取引をした」ことを理解して、何も問わないのかもしれない。これらのユーザーを捕まえれば、Microsoftがこれまで見つけられなかった大規模な海賊行為にたどり着ける可能性がある。さらには顧客に、ハードと一緒に正規版のOSを買いたいと思わせるかもしれない。

 WGA確認ソフトが本当にハッキングされたのなら――既にハッキングされたと賭けてもいい――海賊版業者がWGAを騙すソフトをマシンに載せてばらまき始めるはずだ。このマシンはユーザーがそのことに気づかなくても動作する。そして海賊版との戦いは続くだろう。

Starter Editionは「成功」?

 アナリストミーティングで変だと感じたのは、Microsoftが開発途上国でLinux対抗策の1つとして販売している機能限定版Windowsの成功をうたったことだ。Windows XP Starter Editionは6カ国語版が提供され、22カ国で発売された。

 それだけ広く提供したことを考えると、Windowsクライアント部門の上級副社長ウィル・プール氏がなぜ販売本数10万本であんなに満足していたのか疑問に思わざるを得ない。1カ国当たり5000本足らずの売上げだ。大成功とはとても思えない。だが、ウィルが成功だと言うのならそうなんだろう。

Claria問題は

 ほかのニュースに関して言うと、Microsoftがスパイウェア配信企業Clariaを買収する筋書き、ええと計画は幾つもの見出しの下に沈んでしまった。だが、Microsoftが新しい「クラス最高の広告プラットフォーム」について語るアナリストミーティング関連記事を見ると、50億ドルの小切手は既に送られたのかもしれないと思えてきた。

Vistaのチャンスはいつ?

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