Novell、コミュニティーベースの「OpenSUSE」プロジェクトを計画

OpenSUSEはRed HatのFedoraに似たコミュニティーベースのアプローチになると情報筋は伝えている。このプロジェクトはLinuxWorldで発表される見込みだ。

» 2005年08月03日 16時51分 公開
[Steven J. Vaughan-Nichols,eWEEK]
eWEEK

 Novellは来週サンフランシスコで開催されるLinuxWorldで、コミュニティーベースのLinuxディストリビューション「OpenSUSE」を立ち上げる予定だ。同社に近い筋が明らかにした。

 Fedora Projectで成功したRed Hadにならって、NovellはOpenSUSEで自社のLinux開発の取り組みを開放すると情報筋は伝えている。

 Novellは既にこのプロジェクトのために、opensuse.orgのサイトをバットマンの分身であるブルース・ウェインの名前で用意している。ただしこのサイトはまだ公開されていない。

 このようにユーモラスな調子で、このプロジェクトは「The Lizard Blizzard」の通称で立ち上げられ、SUSEのオリジナルのトカゲのマスコット「Geeko」がLinuxWorldに再び登場すると情報筋は語る。

 もっとまじめな話をすると、配布可能なディストリビューションの実際の名前は「SUSE Linux」になり、SUSE Linux Proラインもブランドを変更してSUSE Linuxの名前を共有する。

 Novellがコミュニティーベースのオープンソースアプローチを試みるかもしれないという話題は以前にもLinuxコミュニティーで議論されていた。作家でUnisysのオープンソースソリューション担当システムアーキテクト、ジェイソン・パーロウ氏は、5月のLinux Magazineで「SUSE Linux Professionalがルーツを見つめ直して、Fedoraに似た公共のオープンソースプロジェクトとして生まれ変わる必要があるということはわたしには明白だ」と述べていた。

 パーロウ氏は、Novellが自社のオープンソース技術を懐に隠しておいたことは、同社にとってプラスにならなかったと主張していた。オープンなコミュニティーベースのアプローチにより、「Mono、Evolution、Red Carpet、NDS、ZENworks、HulaなどのSUSE、Ximian、Novellの技術が前面に出て、コミュニティー内でもっと広範なフィールドテストが可能になるだろう」と同氏。

 EvolutionよりもThunderbirdの方が人気が高いことなどを挙げ、同氏はテスト・開発プロジェクトへのアクセスが容易なほど、多くの開発者がコードを利用し、拡張してくれるとも主張していた。

 同氏の主張は無視されてしまったのかもしれない。確かに、NovellはRed HatのFedoraの成功に触発された可能性がある。

 Fedoraのコミュニティーベースのアプローチでは、開発サイクルはRed Hatのエンジニアだけでなく、もっと広大なオープンソースコミュニティーにより牽引されている。その結果が、熱心なファンにとって最先端のLinuxとなっている。

 企業が採用できるレベルにまでコードが成熟したら、ロックダウンされて最後の仕上げと品質保証テストが行われ、サポート付きの商用製品としてリリースされる。

 Red Hatの場合、Fedoraの各バージョンの最終段階がRHEL(Red Hat Enterprise Linux)の基盤になる。

 Novellの場合、情報筋によると、SUSE Linuxのコードは次期版SLES(SuSE Linux Enterprise Server)、OES(Open Enterprise Server)のLinuxコンポーネント、NLD(Novell Linux Desktop)の基礎となり、SUSE Linuxの最初のバージョンはLinux 2.6ベースのSLES 10βで構成される。これは、SUSE Linux Professional 9.5になる予定だったものとほぼ同じだ。

 しかし、ディストリビューションモデルはRed Hatとはかなり違ったものになる。Fedoraをダウンロードでのみ提供し、サポートを提供しないRed Hatとは違い、NovellはSUSE Linuxをマニュアルと有料サポート付きの小売パッケージでも販売すると情報筋は話している。

 完全版はOpenSUSEサイトからソースコードおよびISOダウンロードの形で自由に入手できるようになる。情報筋によると、このデュアルアプローチが選ばれたのは、NovellがSUSE Linuxをコミュニティーにより開発され、さらに「開発には参加しないがサポート付きの最先端Linuxが欲しい」というユーザーに使われるようにしたいと思っているからだ。

 Red HatおよびFedoraと同様に、初めはNovellがSUSE Linuxの開発を運営し、最終的には運営委員会に管理を委譲する予定だという。

 Novell幹部はこの報道に関するコメントを拒否した。同社のPRディレクター、ブルース・ローリー氏は、同社のLinux開発アプローチが変わる可能性があるとしても、それは先日発表された欧州でのレイオフとは関係がないと語った。

 「Novellの欧州での業績は期待を下回るものだった。レイオフはこれを回復させるための取り組みの一環だ。これはSUSEのエンジニアリング・開発スタッフとは何も関係ない。レイオフは余剰の営業員を対象としたもので、欧州での採算性を高めることが目的だ」(同氏)

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