サーバに必要以上の負荷がかかるだけでなく、同時にインターネット資源も食いつぶしていく。トラックバックスパムなどが書き込まれて不快な思いをするのも嫌だが、ブログサービスやインターネット自体に物理的な被害を負わせる可能性があるわけだ。
しかし、一度送信されてしまったスパムを防ぐのは容易ではない。各ブログサービスでは、スパム対策として、ブラックリストを作成して対応している。これは、スパムが発信されたIPやドメイン、もしくは書かれたキーワードなどを禁止することで、受け付けないようにするのだ。コメントやトラックバックを送信してきても、書き込まれないので被害は最小限に押さえることができる。
しかしこれもまたイタチごっこ。禁止されていない送信元から送られればアウトだし、禁止ワードをかいくぐってくれば受信してしまう。
これが、スパム行為が“悪”とされる由縁だ。
それでは、これらスパム行為にどう対応すればいいのか。
非常に難しい問題である。
7月から発生している悪質なトラックバックスパム騒動は複数のブログサービスが対応したが、完全に駆逐できたわけではない。前述したように、イタチごっこが続いているのだ。
さらに、特定のサイトからのトラックバックを禁止してしまうという措置を行うブログサービスもあったが、これでは問題のないトラックバックも受けつけなくなるという弊害もある。
また、悪質サイトのトラックバックに対処している中、問題のないYahoo!ブログからのトラックバックを拒否してしまうという問題が発生したと、NetLaputaブログは8月4日に発表した(関連リンク)。これは、Yahoo!ブログからのトラックバックが要求を2回に分けて送ってきたために連続IP扱いとして拒否したためだった。
このように、何が悪質なトラックバックかということを機械的にやろうとしても、なかなかうまくいかないのが現状なのだ。ある程度は機械的に対応しながらも、最終的には個々人がチェックして、削除したりするなどの対応を取らざるをえない。
さて、トラックバックスパムは、われわれブロガーに何を教えてくれたのか?
ひとつにはマナーだと思う。
自分のブログやWebサイトのアクセス数を増やしたいがためだけに、内容にそれほど関連性がないのに、人気ブログにトラックバックを送信する。そういった行為は、相手ブログに失礼なだけでなく、相手サーバ、いや、限りあるインターネット資源の無駄づかいをしていることを肝に銘じるべきだ。これは残念ながら、自分が被害者になって初めて気付くのかもしれない。
もちろん、コメントやトラックバックを普通に使う分には、ブログ特有のコミュニティ形成のためになる。
スパムが教えてくれた2つ目は、ブログシステム自体の危うさだ。“つながり”をひとつの軸にしているだけに、どうしてもその点の脆さが浮き彫りになってしまう。人気が出て、人が集えば集うだけ、負荷がかかって見られないといったことになってしまうのだ。これは、最初にも述べた「自動化」を悪用したスパムによる悪影響もある。もちろん、それだけではなく、アクセスがサーバの許容量を超えればそれだけでダウンしてしまうのだが。
ブログが一般的になればなるだけ、ツールで自動的に大量発信されるスパム行為はやむことはないだろう。ますます増えていくことも予想される。
これら悪質トラックバックスパムなどにおけるサーバ負荷に関しては、各ブログサービスがどのような打開策を見付けるのかが今後の課題となる。利用するブロガーは、注目して見守っていかねばなるまい。
同時に、トラックバックやコメントといったものに対して、利用者側の意識の変革もしていく必要がある――よりよいブログのコミュニケーションを形成するためにも。せっかく、こんなすばらしい機能があるのだから、ちゃんと利用しようではないか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.