BI市場でDBの高いシェアを生かすオラクル本格化するBI活用

データをビジネスに活用しようとする機運が企業の間で着々と高まっている。OracleやMicrosoftはデータベース提供での高いシェアを生かして他社に差別化する考えだ。

» 2005年08月22日 18時58分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 データをビジネスに活用しようとする機運が企業の間で着々と高まっており、対応するために、ビジネス・インテリジェンス(BI)ベンダーは他社への差別化のメッセージを示そうとしている。そこで注目されるのが、BI専業ベンダーに対して、データベースを提供していることを強みにBI分野での存在感を打ち出そうとしているMicrosoftやOracleだ。

 マイクロソフトに引き続き(関連記事)、今回はオラクルの取り組みについて具体的に紹介する。

データべースとミドルウェアの統合

 オラクルがBI機能を提供する上で強みを発揮する基盤となるのが、圧倒的なシェアを持つOracle Databaseの存在だ。DBのシェアをBIにおけるシェア確保につなげるマーケティング戦略だけでなく、技術的な側面からも、データベースを中心としたミドルウェア領域での強みをそのままBIに生かそうとしている。

 同社は現在、PeopleSoftとの合併後の製品戦略として、「Fusion Middleware」を打ち出している。これは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)やEnterprise Data Hub、RFIDなどを含めて、データベースとミドルウェアを統合しようとする取り組みだ。そして、Fusionが提供する重要な機能として位置づけられているのがBIとなる。

 一般に、BI機能を実現する場合、営業やマーケティング、製造など、さまざまな部門に散在するデータをETLツールで抽出し、分析用のデータウェアハウス(DWH)を構築する。そして、DWH上でOLAP分析を行い、ビジネス上の課題の解決を目指すのが一般的な流れとなる。

 この一連の処理で、最もクリティカルになるのが最初の段階である「さまざまなデータソースからETLツールでデータを抽出する」という作業と言われている。つまり、データを抽出し、分析可能な形式に変換後、DWHにデータをロードするという処理。この段階では、各部門などに散らばるデータソースに格納されているデータの形式が不ぞろいだったり、「同じ商品に複数の製品番号が定義されている」など、データ間の整合性が取れていなかったりといった問題点が発覚することも多い。「データ洗浄」に手間がかかるケースが考えられるわけだ。

 オラクルはここで、Oracle Databeseに最適化されたDWH構築ツールを提供することで競合他社に対する差別化を図る。Oracle Databaseユーザーは多いため、DWH構築ツールの性能が良ければユーザー企業は自ずとOracleベースでのBI構築を選択するという思惑がそこにある。

 実際のツールである「Oracle Warehouse Buileder」は、DWHを迅速かつ低コストで設計、実装できることが特徴。また、大規模データを扱えることや、メタデータを管理することでほかのツールと連携できること、スタースキーマの設計、GUI環境での実装が可能であることなども挙げられている。

 さらに、Oracle Databaseを有効活用することによって、ETL専用サーバが不要であることもユーザー企業にとってはコスト面での大きなメリットになる。また、Oracle Warehouse Builderで設計し、構築した情報を、Oracle Discovererを使ってそのまま分析することも可能だ。

 日本オラクルは、BI機能を「10g Database」と「10g Application Server」の2製品のみで提供していく戦略を発表している。データウェアハウスの構築やセキュリティの確保など、BIに必要なさまざまな機能を、既に広く獲得しているデータベースのユーザーが導入しやすい形で提供することにより、BI市場での存在感の確立を図ろうとしている。

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